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2018 年度 実施状況報告書

基底小体と付随中心子の連結機構についての分子細胞生物学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K08523
研究機関帝京大学

研究代表者

萩原 治夫  帝京大学, 医学部, 教授 (80189464)

研究分担者 有澤 謙二郎  帝京大学, 医学部, 助教 (40582846)
田中 秀幸  帝京大学, 医学部, 講師 (70343085)
宮下 俊雄  帝京大学, 医学部, 講師 (80415314)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードstriated connector / 基底小体 / 一次線毛 / ルートレット
研究実績の概要

中心体はペアの中心子と中心子周囲物質から構築される。特定の細胞型で細胞周期のG0期に母中心子が基底小体に分化し、一次線毛を形成する。線毛を伸長した基底小体と娘中心子には、横紋を有する線維構造のstriated rootletが付随する。Striated rootletは基底小体と娘中心子との連結にも関与し、この部分のrootletはstriated connectorとも呼ばれる。Striated connectorは、striated rootletと同様にrootletinによってつくられる。本研究の目的は、これらの線維状構造の構築と機能を解明することである。
線毛や中心体の構成分子に対する抗体を用いて免疫組織化学的に解析し、ARL13Aと類似のアミノ酸配列を有する分子がrootletin分子と相互作用している可能性が示唆された。
RootletinはC-Nap1を介して基底小体に連結し、この連絡はNEK2によって阻害される。培養線維芽細胞を用いた解析で、細胞周期のM期に複製中心子が分離して移動する際に、striated rootlet とstriated connectorはC-Nap1に結合した状態で小片化して基底小体から分離し、次いで消失すること、この小片にはNEK2が局在しないことを明らかにした。RootletinをsiRNA実験でノックアウト細胞では、細胞接着能が低下して形態像が変化するが、大部分の細胞で基底小体と娘中心子の連結は保存され、線毛の材料となる分子の輸送は障害されず一次線毛の形成に大きな異常はなかった。RootletinとともにC-Nap1の発現も低下し、C-Nap1の基底小体への局在維持にrootletinが関与することが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Rootletinと共局在する分子の解明では、ARL13Aがrootletinと相互作用をする可能性が考えられたので、分子細胞生物学的手法を用いて解析を進めた。その結果、使用した抗ARL13A抗体が別の分子を認識している可能性が高くなり、分子量やアミノ酸配列からデータベースを利用して認識される分子の解明を進めている。また市販の抗体を利用してstriated connectorやstriated rootletに局在する新たな分子の探索を行ったが、候補となる分子の発見には至らなかった。
Rootletinの機能についてはsiRNA実験や細胞生物学的手法により順調に研究が進み、striated connectorの細胞生物学的意義について新たな知見を得ることができた。同様のノックアウト実験をC-Nap1についても実施すべく準備を進めている。
本研究課題に付随して得られた一次線毛についての解析で、論文をまとめることができた。
抗rootletin抗体、R67抗体を用いた免疫沈降実験では、多量の基底小体・striated connector・striated rootletを準備する必要がある。そのためrootletinを強制発現した細胞株の樹立を計画したが、予定通り樹立することができた。免疫沈降実験、共沈してくる分子群の分析については予定通りに進行できなかったが、現在実験の準備を進めている。

今後の研究の推進方策

実験で使用している抗ARL13A抗体が認識する分子を解明し、この分子およびC-Nap1に対するノックダウン実験を行い、線毛、striated connector、striated rootlet、基底小体、中心子を指標にしてこれらの構築に及ぼす効果について細胞生物学的に解析する。
細胞周期のM期に、複製した中心体は互いに分離し、striated rootletとstriated connectorは断片化して中心子から分離する。細胞分裂時のstriated rootletとstriated connectorの構造変化について超微形態学的に解析する。
Rootletinを強制発現した細胞株を用いて細胞周期性のrootletin分子の動態を解析する。次いでこの細胞株を大量培養し、striated connector・striated rootlet分画を調整し、抗rootletin抗体、R67抗体を用いて免疫沈降実験を行う。Rootletinとの相互作用が疑われた分子については、免疫組織化学、免疫電顕法を用いて細胞内局在を明らかにするとともに、siRNA実験などの分子細胞生物学的手法により、基底小体からの線毛形成における役割、striated rootletやstriated connector形成における役割、二つの中心子の結合における働き、さらに紡錘体や微小管形成における機能について解析する。
Striated connectorおよびstriated rootletについての実験に際し、これらと密接に関連する一次線毛やチュブリン分子の動態についても並行して解析を行う。

次年度使用額が生じた理由

平成30年度は、物品費として、抗体、薬品、実験調整薬やプラスチック器具などの消耗品の購入に960000円を計上していたが、886995円の使用にとどまり、平成29年度の物品費の未使用額と合わせて物品費の次年度使用額113684円が生じた。研究計画はおおむね予定通りだが、免疫沈降実験に予定していた一部の消耗品の購入をしなかったため、この次年度使用額が生じた。旅費として平成29年度、平成30年度で計120000円を計上したが、大学支給の旅費を学会参加旅費にあてたので、120000円が未使用であった。その他の費用も学会参加費12000円の使用にとどまり68000円が未使用となり、利子も含めて総額301684円が平成31年度へ繰り越しとなった。総額301684円の未使用額は、平成31年度の研究実施において、大学支給の旅費の不足分を補うとともに、消耗品の購入、学会参加費、論文投稿費用に充てる計画である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Dynamic localization of α-tubulin acetyltransferase ATAT1 through the cell cycle in human fibroblastic KD cells.2018

    • 著者名/発表者名
      Nekooki-Machida Y, Nakakura T, Nishijima Y, Tanaka H, Arisawa K, Kiuchi Y, Miyashita T, Hagiwara H.
    • 雑誌名

      Med Mol Morphol.

      巻: 51 ページ: 217, 226

    • DOI

      10.1007/s00795-018-0195-x.

    • 査読あり
  • [学会発表] Cyclic changes of the organization of striated rootlets and the localization of α-tubulin N-acetyltransferase (ATAT1) in fibroblastic KD cells.2019

    • 著者名/発表者名
      Haruo Hagiwara, Yoko Nekooki, Toshio Miyashita, Takashi Nakakura
    • 学会等名
      The 19th congress of the international federation of associations of anatomists
    • 国際学会
  • [学会発表] 一次線毛を伸長した基底小体に付随するstriated rootletの断片化びついて2018

    • 著者名/発表者名
      萩原治夫
    • 学会等名
      第50回日本臨床分子形態学会

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公開日: 2019-12-27  

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