研究課題
各種の細胞膜イノシトールリン脂質は、低分子GタンパクRabファミリーと共に、エンドサイトーシス、エキソサイトーシス、オートファジー、細胞遊走などの膜動現象を精巧に制御する。特に、3’-リン酸化PIの小胞輸送調節における役割は注目を集めている。しかし、形質膜や細胞内小器官膜に局在して3’-PIの合成・分解を司る代謝酵素分子の実体と局在は十分に明らかとなっていない。細胞膜に存在するホスファチジルイノシトール(PI)は脂質リン酸化酵素PI3キナーゼにより種々の3’-ホスホイノシチド(3’-PI)に変換され、細胞内小胞輸送やシグナル伝達に関与する。各膜分画における各種3’-PIのレベルは、PI3キナーゼ(PI3K)とともにPI特異的ホスファターゼにより厳密にコントロールされているが、このうちMyotubularin-related protein (MTMR)ファミリーはPI-3リン酸(PI(3)P)をPIへと変換する3’-PIホスファターゼである。最近我々は、MTMR4が肺組織において II型肺胞上皮細胞(AECII)に高発現し、エンドソーム~リソソーム(エンドリソソーム)、オートファゴソームといった細胞内クリアランスを担う小器官の機能調節に重要な役割を果たすことを報告した。本年度実施した研究により、14種のアイソフォームからなるMTMRファミリーの中で、MTMR4が後期エンドソーム、オートファゴソームに局在するMTMR4の同定および詳細な細胞内調節メカニズムが明らかとなった。MTMR4は後期エンドソームおよびオートファゴソームに局在するMTMR4は、PI(3)Pを脱リン酸化してPIに変換する必須の3’-PIホスファターゼであり、エンドリソソームおよびオートファジー経路の機能を調節して、細胞内クリアランス制御に関与することが示唆された。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 2件)
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