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2018 年度 実施状況報告書

拡張型心筋症における脳セロトニン合成律速酵素Tph2遺伝子機能的多型の役割

研究課題

研究課題/領域番号 17K08540
研究機関国際医療福祉大学

研究代表者

森本 幸生  国際医療福祉大学, 福岡保健医療学部, 教授 (50202362)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード遺伝性拡張型心筋症 / ノックインマウスモデル / 脳セロトニン機能 / 心臓突然死 / 重症心不全死
研究実績の概要

昨年度にひきつづき「C57BL/6とBALB/c系統間でTph2遺伝子を入れ替えたΔK210ヘテロ接合体DCMマウス」の兄弟交配を行い、C57BL/6とBALB/c遺伝的背景上にTph2 1473C/C および G/GアレルをもつΔK210ホモ接合体DCMマウスの作出を行った。その結果、C57BL/6遺伝的背景上にC/CとG/GアレルをもつΔK210ホモ接合DCMマウスをそれぞれともに計26頭作製することができた。一方、昨年度は十分な個体数を揃えることができなかったBALB/c6遺伝的背景上にC/CとG/GアレルをもつΔK210ホモ接合体DCMマウスはそれぞれ計6頭と16頭作製することができた。死亡時の解析結果から、C57BL/6遺伝的背景にTph2低活性型G/Gアレルを導入すると本来の高活性型C/Cアレルをもつ群に比べて心臓量と肺うっ血レベルが有意に増加することが初めて確認された。また、低活性型G/Gアレルの導入により生命予後が有意に延長することも統計学的に証明することができた。一方、BALB/c遺伝的背景にTph2高活性型C/Cアレルを導入すると本来の低活性型G/Gアレルをもつ群に比べて心重量が減少する傾向がみられると同時に肺うっ血レベルは有意に減少することが確認された。また、BALB/c遺伝的背景では高活性型C/Cアレルの導入により生命予後が有意に短縮することが統計学的に証明された。死因に関しては、C57BL/6遺伝的背景で本来の高活性型C/Cアレルをもつがすべて予期せぬ突然死であったのに対して、低活性型G/Gアレルを導入したものでは予期せぬ突然死と心不全による衰弱死がそれぞれ半分程度見られた。一方、BALB/c遺伝的背景では本来の低活性型G/Gアレルをもつものがすべて心不全による衰弱死であったのに対して、高活性型G/Gアレルを導入したものでは予期せぬ突然死が数例みられるようになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

交配ケージを大幅に増やすことにより昨年度の遅れをかなり取り戻すことができた。しかしながら、特に出生率が低いBALB/c遺伝的背景に関しては信頼性のある統計学的検定を行うために十分な例数を得ることがいまだできていない。

今後の研究の推進方策

C57BL/6遺伝的背景ΔK210ホモ接合体DCMマウスは統計学的検定に十分な例数を得ることができたが、BALB/c遺伝的背景ΔK210ホモ接合体DCMマウスは特に高活性型C/Cアレルを導入したものが依然として十分な例数を得ることができていないため、次年度も交配ケージを増やした状態でさらに研究を進める必要がある。また、BNP・βミオシン重鎖・SERCA2a・NCX1などの心肥大・心不全マーカーの発現量測定、単離心筋細胞収縮性/細胞内カルシウム動態同時測定および脳セロトニンレベルの定量を行うことで最終的にDCM疾患表現型における脳セロトニン機能の役割を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

当初予想していたものより出生率が極端に低いマウスの系統があったため、昨年度より研究進捗状況に遅延が生じた状況が続いている。本年度は交配ケージ数をさらに増やして遅れを取り戻したうえで、研究計画書記載の各種解析をすべて遂行する予定であり、翌年分として請求した助成金と合わせて本年度中に有効に活用することで本研究計画を完了する予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Overexpression of heart-specific small subunit of myosin light chain phosphatase results in heart failure and conduction disturbance2018

    • 著者名/発表者名
      Arimura Takuro、Muchir Antoine、Kuwahara Masayoshi、Morimoto Sachio、Ishikawa Taisuke、Du Cheng-Kun、Zhan Dong-Yun、Nakao Shu、Machida Noboru、Tanaka Ryo、Yamane Yoshihisa、Hayashi Takeharu、Kimura Akinori
    • 雑誌名

      American Journal of Physiology-Heart and Circulatory Physiology

      巻: 314 ページ: H1192~H1202

    • DOI

      10.1152/ajpheart.00696.2017

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] ヒト拡張型心筋症ノックインマウスモデルの出生後早期における心機能評価2019

    • 著者名/発表者名
      杜 成坤、戦 冬雲、森本 幸生、秋山 剛、白井 幹康、Pearson James
    • 学会等名
      第92回日本薬理学会年会
  • [学会発表] 毎日の自発運動は拡張型心筋症モデルマウスにおける心不全進行を抑制する2019

    • 著者名/発表者名
      杉原 匡美、柿木 亮、村山 尚、三井田 孝、櫻井 隆、森本 幸生、呉林 なごみ
    • 学会等名
      第92回日本薬理学会年会
  • [学会発表] The Effects of Frequency of Voluntary Exercise on Cardiac Function in Dilated Cardiomyopathy Model Mice2019

    • 著者名/発表者名
      Masami Sugihara, Ryo Kakig, Takashi Murayama, Takashi Miida, Takashi Sakurai, Sachio Morimoto, Nagomi Kurebayashi
    • 学会等名
      2019 Biophysical Society Annual Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] Effects of Novel RyR2 Inhibitors on Diseased Hearts2019

    • 著者名/発表者名
      Nagomi Kurebayashi, Murayama, Mai Tamura, Shuichi Mori, Mari Yuasa-Ishigami, Hiroyuki Kagechika, Junji Suzuki, Kazunori Kanemaru, Masamitsu IIno, Sachio Morimoto,Takashi Sakurai,
    • 学会等名
      2019 Biophysical Society Annual Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] ミオフィラメントCa感受性と遺伝性心筋症2018

    • 著者名/発表者名
      森本 幸生
    • 学会等名
      CVMW2018心血管代謝週間
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 若年性拡張型心筋症の初期 進行因子にカテコラミンは関 わるか? ーDCMモデルマウスによる検 討ー2018

    • 著者名/発表者名
      南沢 享 、谷端 淳 、藤本 義隆、森本 幸生
    • 学会等名
      日本心不全学会第4回日本心筋症研究会
    • 招待講演
  • [図書] 心不全 : 最新の基礎・臨床研究の進歩2018

    • 著者名/発表者名
      杜 成坤、森本 幸生
    • 総ページ数
      715
    • 出版者
      日本臨牀社

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公開日: 2019-12-27  

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