研究課題/領域番号 |
17K08541
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
高宮 考悟 宮崎大学, 医学部, 教授 (40283767)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | グルタミン酸受容体 / シナプス可塑性 / 糖鎖修飾 |
研究実績の概要 |
これまでにシナプス可塑性の発現において中心的役割を果たすAMPA型グルタミン酸受容体の修飾によって、シナプス可塑性を中心とする神経機能がどのように制御されているのかを解析してきた。特にAMPA型グルタミン酸受容体の細胞外ドメインのN型糖鎖修飾がAMPA型グルタミン酸受容体の機能にどのように影響を与えているかを中心に研究を行なった。現在までにAMPA型グルタミン酸受容体のGluA1サブユニットの細胞外ドメインには、6ヶ所のN型糖鎖修飾部位が存在し、2ヶ所(N63, N363)の糖鎖修飾の障害でAMPA型グルタミン酸受容体の4量体形成と細胞表面への移送が障害され、早期に分解されることがわかった。またN401の部分は、他のN型糖鎖修飾部位がほとんど脳内においてN型糖鎖修飾されているのに対し、不完全な糖鎖修飾を受けていることがわかった。この部位のN型糖鎖修飾が行われない場合、チャンネル機能としてイオン高透過性となる。さらにN401の糖鎖修飾の状態を観察するために、糖鎖修飾されないN401部位を特異的に認識する抗体を作成し解析したところ脳の発達に伴って糖鎖修飾の程度が変化することがわかった。さらに神経活動依存的にも糖鎖修飾の程度が変化し、これによって神経シナプスにおいて糖鎖修飾されていないAMPA型グルタミン酸受容体の量的変化がおき、シナプス可塑性を制御していることがわかった。これらの結果にもとづき、N401部位が糖鎖修飾されていない遺伝子変異マウスを作成し、現在解析を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究内容をグルタミン酸受容体のN型糖鎖修飾によるシナプス機能の解析に焦点をしぼったことで、順調に解析が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
作成した遺伝子変異マウスの解析を中心として研究をすすめ、これまで得られた結果の論文作成を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度、遺伝子変異マウスの作製とその解析を集中的に行うため、次年度の700,000円を繰り越した(g)。そのうち、本年度使用しなかった、15,416円を次年度に繰り越し、論文作製に必要な経費に使用する予定である。
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