研究課題
S1P2遺伝子(S1pr2)上のエクソン2のコーディング領域の両端にloxP配列を挿入したS1pr2-floxedマウス(S1P2flox/flox)とマクロファージ(Mph)特異的Cre発現ノックインマウス(LysM-Cre)を交配し,Mph特異的S1P2ノックアウトマウス(S1P2flox/flox ; LysM-Cre)を得た。また, Rosa26-tdTomato(tdTomato)マウスをLysM-Creマウスと交配し,LysM-Cre ; tdTomatoマウスを得た。LysM-Cre;tdTomatoマウスでは,気管支肺胞洗浄液中のtdTomato遺伝子発現細胞は全てMac3が陽性であった。一方,Mac3陰性の細胞は,tdTomato遺伝子を発現していなかった。これらのことから,LysM-Creマウスでは、Lysosome特異的に効率よくflox配列を有する遺伝子が欠失することを確認した。S1P2flox/flox ; LysM-CreマウスにおいてMphのS1pr2がノックアウトされているか否かをqPCRにより検討したところ、LS1P2flox/flox ; LysM-Creマウスでは気管支肺胞洗浄液中のMphおよび腹腔MphのS1pr2 mRNA発現は95 %低下しており、S1pr1及び S1pr4 mRNAは低下していなかった。したがって,Mphにおいて,S1pr2 mRNAの発現が選択的に抑制されていることを確認した。S1P2flox/flox ; LysM-Creマウス及び同腹S1P2flox/floxマウス(コントロールマウス)にブレオマイシン負荷による肺線維症モデルを作成し、Mph特異的S1P2ノックアウトの影響を解析した。S1P2flox/flox ; LysM-Creマウスにおいて気管支肺胞洗浄液中のマクロファージ数はコントロールマウスと有意差なく、肺線維症の増悪を認めた。
2: おおむね順調に進展している
当初の目的どおりの細胞系譜特異的遺伝子改変マウスを得た。さらにブレオマイシン負荷による肺線維症モデルを作成し、検討を開始している。
研究計画に則ってマウス個体および気管支肺胞洗浄液から得たMphを用いた培養細胞系での検討を進める。
技術的な問題で研究の進捗が予想よりも遅延したため、次年度使用額が発生した。問題が解決したので、次年度において遅延分を取り戻す研究推進を目指す。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件)
PLoS One.
巻: 12 ページ: -
10.1371/journal.pone.0182329. eCollection 2017.