S1Pは5つの受容体サブタイプを介して多彩な生物効果を発揮し、様々な病態への関与も明らかにされつつある。本研究は第一に、マクロファージのS1P2受容体が肺線維症の増悪に関与することを明らかにし、S1P2特異的遮断薬が肺線維症の治療薬の候補となる可能性を提示した。第二に、これまでその機能が十分明らかでなかったS1P産生酵素の一つSphK2が、S1P産生以外の機序で粥状動脈硬化の進行抑制に働いていること、その分子機構として、粥状動脈硬化の主役(泡沫細胞)であるマクロファージにおいて、貪食脂肪滴のオートファジー-リソソーム系による分解・処理機能遂行に、細胞内のSphK2が必要なことを明らかにした。
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