研究課題
COPDにおけるイオン輸送体を分子標的とした気道粘液線毛クリアランス活性化療法の開発 慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)患者において、閉塞性換気障害の重症化に伴い、高CO2血症が合併する。高CO2血症は、気道線毛細胞内pHおよびクロライドイオン環境の変化を介して 気道線毛クリアランスの低下、気道分泌を低下させる可能性があり、このことが頻回な気道感染の原因となっているとの仮説を立てた。 現在、高CO2血症の気道のイオン輸送(Cl-分泌)と線毛運動に対する効果については明らとなっていない。本研究では、気道線毛細胞における細胞内pHおよびクロ ライドイオン環境の制御の観点から、高CO2血症の気道線毛細胞におけるCl-分泌、線毛運動に及ぼす影響を解明し、COPD患者の気道感染の革新的予防法・治療法 の開発を目指している。初年度(平成29年度)はマウス肺よりエラスターゼ処理により気道間葉系幹細胞を分離、精製し、気道線毛細胞の分化誘導法を確立した。その条件での細胞内クロライド濃度、pHを測定し、マウス肺より単離した細胞と同様の値を示し、線毛運動においても同等の運動活性を持つことを明らかとした。これらの結果より、初代培養環境がin vivoでの生育環境を十分に再現していると考えている。また、COPD患者の気道環境を再現するために高CO2培養を行うためインキュベートチャンバーを作成し、高濃度CO2刺激を行ない、線毛運動の低下や経上皮短絡電流の測定においてクロライドイオン輸送の低下を認めた。また細胞内pH測定の低下を確認した。またpH制御に関わるイオン輸送体としてNHE3の増加を認めた。平成30年度より倫理委員会の承認を受けており、患者検体の培養を開始し培養法を確立した、現在線毛運動評価、高CO2環境下での機能評価を行い、マウス気道線毛細胞での実験と同様の結果を得た。
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Pflugers Archiv - European Journal of Physiology
巻: 471 ページ: 1127-1142
10.1007/s00424-019-02280-5
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