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2018 年度 実施状況報告書

軟骨原基を形成する形態形成関連因子の三次元的解析

研究課題

研究課題/領域番号 17K08548
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

依田 昌樹  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (30464994)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード骨形成 / 軟骨形成 / 組織透明化 / 3次元解析
研究実績の概要

本研究は軟骨原基周囲に存在する細胞群が産生する骨形態形成因子の分布を組織学的に解析し、骨形態形成のメカニズムの一端を明らかにすることを目的としている。
2018年度年度は軟骨原基および形成された軟骨の3次元的解析を中心に行った。まず時系列を追って軟骨形成を可視化するためアリザリンレッドとアルシアンブルーによる全身骨格標本の作製を行った。E13.5では四肢の遠位端ですでに石灰化が始まっているのが観察されたが、耳殻および耳嚢は一部の軟骨形成のみが確認された。このことから四肢と耳小骨の軟骨形態形成は発現するホメオボックス遺伝子の違いだけでなく、周囲に存在する間葉系細胞の種類および形態形成因子の発現時期にずれが生じていることが示唆された。軟骨特異的(Col2a1レポーター支配下)に蛍光タンパク質を発現するレポーターマウスを使用したフェイトマッピング解析からも同様にE12.5おいて耳嚢部分に蛍光が確認された。さらにこのレポーターマウス胚をScaleSで透明化処理を行いシート型顕微鏡で観察した結果、自家蛍光の除去などの技術面における改善は残るものの3次元的に可視化することができた。現在、さらに蛍光タンパク質に適した透明化処理の検討および免疫染色による軟骨組織の可視化を検討中である。マイクロCTによる軟骨を含む軟組織の可視化はI2KI染色液を使用することで可能であることがわかった。しかし、正確な局在を示すまでには至っておらず現在検討中である。さらに、軟骨原基周囲に存在が期待されるPDGFRα陽性細胞を可視化するため、PDGFRαレポーターマウスの作製を行い完了した。これまでの結果をもとに、E11.5からE14.5を対象にレポーターマウスを使用し3次元的解析を行うのが適切であると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2018年度は最初に胚の全身骨格標本の作製を行い、耳小骨軟骨の出現時期および位置的情報を3次元で把握することができた。次に軟骨特異的レポーターマウス胎児を使用し透明化処理の検討を行った。ScaleSを用いた透明化処理により、E12.5の耳嚢部分およびメッケル軟骨に強い蛍光シグナルが観察され、さらにシート型顕微鏡の観察結果からも蛍光シグナルを3次元的に観察することができた。しかしながら、ScaleSで得られた結果では強い自家蛍光シグナルも検出されたため位置の厳密な特定には至っておらず、現在CUBIC-Rに試薬を変更し透明化処理後の蛍光シグナルの局在パターンを解析中である。一方でPDGFRα陽性細胞がツチ骨(P6)の軟骨膜上に層状に存在しているという2017年度の結果から、現在PDGFRαに着目しPDGFRαレポーターマウスの作製を行い完了している。このマウスはレポーター発現を人為的に誘導できることから胎生期の時期特異的にPDGFRα発現細胞を解析することが期待できる。マイクロCTを使用した軟組織の可視化はI2KI染色液を用いて成功しており、胚の軟骨組織の鮮明な可視化のため染色時間、マイクロCTの適切な管電圧の設定を検討している。
しかし胎児の軟骨周囲の形態形成因子の同定には至っておらず、候補分子の可視化が急務であり、「やや遅れている」と判断した。
また本研究中に離乳までの新仔における長管骨の骨形態形成に関する新しい知見が得られている。組織学的観察からマウス腓骨の骨幹部において、出生後から離乳まで横断面の形状が継時的に変化していること、その変化は骨吸収面と骨形成面が皮質骨を挟み対になっていることで生じていることが明らかとなった。これは骨形態形成には出生後の骨組織周囲の環境に合わせた形成メカニズムも存在することを示している。現在この変化の詳細なメカニズムの解明も並行して行っている。

今後の研究の推進方策

2019年度は軟骨が出現するE11.5-E13.5個体を用いて耳嚢周辺の切片を作製し、軟骨周囲の細胞に発現する分子を免疫染色により同定する。特に軟骨膜上に分布していた間葉系マーカーであるPDGFRα、間葉系細胞の凝集促進(カドヘリン)および凝集抑制(Notch)分子を中心に行う。同定後はシート型顕微鏡を用いて3次元的に局在を可視化する。遅れているホメオボックス遺伝子のin situハイブリダイゼーションを早急に行い、ホメオボックス遺伝子群の支配領域の可視化を試みる。
一方で、新生仔の腓骨から得られた新しい骨形態形成に関してもこれまで得られた結果を外科的手術により人為的に再現することを試み、メカニズムの解明を目指す。
それぞれ得られた結果は精査し学会発表および論文作成・投稿の予定である

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Trans-pairing between osteoclasts and osteoblasts shapes the cranial base during development2019

    • 著者名/発表者名
      Edamoto M, Kuroda Y, Yoda M, Kawaai K, Matsuo K
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 9 ページ: -

    • DOI

      10.1038/s41598-018-38471-w

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Innervation of the tibial epiphysis through the intercondylar foramen2019

    • 著者名/発表者名
      Matsuo K, Ji S, Miya A, Yoda M, Hamada Y, Tanaka T, Takao-Kawabata R, Kawaai K, Kuroda Y, Shibata S
    • 雑誌名

      Bone

      巻: 120 ページ: 297-304

    • DOI

      10.1016/j.bone.2018.11.007

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] マウス腓骨における骨形成部位は成長に伴い変化する2018

    • 著者名/発表者名
      依田昌樹・黒田有希子・松尾光一
    • 学会等名
      第36回日本骨代謝学会学術集会

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公開日: 2019-12-27  

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