研究課題/領域番号 |
17K08549
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
井上 華 東京医科大学, 医学部, 講師 (20390700)
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研究分担者 |
村山 尚 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10230012)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | TRPM7 / 平面膜 / チャネル |
研究実績の概要 |
H29年度は①人口脂質平面膜実験の立ち上げ及び、②タグ付きTRPM7チャネルタンパク質の作製および発現系を用いた機能解析を行った。 ①本研究計画では、当初、古くから行われている従来法と呼ばれるチェンバーを用いた方法で行う予定であった。しかしながら研究協力者(岩本真幸)と検討した結果、研究協力者が開発した最新の方法であるContact bubble bilayer法(CBB法)を導入することにした。その理由は、CBB法は従来法に比べ、平面膜にチャネルタンパク質を埋め込む際の効率が格段に良いこと、低ノイズであることが挙げられる。CBB法では、油相の中で直径50μmほどの脂質単層膜に包まれた水滴を2つ作成し、これらを一部接触させることにより小さな脂質二重層を作成し、そこにチャネルタンパク質を埋め込んで電気信号を測定する。H29年度はCBB法を行うための実験装置をセットアップするため、連携研究者の研究室に実際に見学に行き、細かな実験方法などを習得した。その結果、当研究室においてもCBB法実験装置を立ち上げ、AmphotericinBチャネルのシングルチャネル電流を測定することに成功した。 ②TRPM7チャネルを平面膜に組み込むためには、TRPM7チャネルタンパク質の精製を行わなければならない。本研究では、ヒトTRPM7のN末端にHalo-tagを付加し、精製の際にはこのHalo-tagを利用することにした。タグを付加することによってTRPM7チャネルの性質が変わっていないことを確認するため、Halo-tag hTRPM7を過剰発現するHEK293細胞を作成し、パッチクランプ法によりその機能を検討した。Halo-tag hTRPM7は、これまで我々が対象としていたマウスTRPM7と同様に、マグネシウムおよびATP依存性に過酸化水素によって活性が制御されることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脂質平面膜実験用のセットアップを完了した。予定していた実験装置とは異なるものにはなったが、人工脂質平面膜の作成およびシンブルチャネル電流の測定が可能な実験装置のセットアップを完了した。
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今後の研究の推進方策 |
H30年度はHalo-tagにて精製したhTRPM7のシングルチャネル電流を測定し、macro scopic currentと性質を比較する。特に酸化ストレスに対する応答性について検討する。CBB法では平面膜に接する溶液の交換は従来法よりやや難しい。水滴内の溶液を交換すればよいだけなので、交換は迅速に行うことができるが、それには水滴内還流用の細いガラス管を2本、水滴に刺入しなければならない。このため技術的には難しい。液交換ができるように還流系を増設するか、液交換なしにチャネル活性を比較する方法を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請当初予定していた実験装置とは異なる実験装置となったため、H29年度の支出額が減額となった。H30年度は同じ理由により、還流装置のセットアップのため、計画よりも支出額が増えると見込まれ、これを繰り越し金にて賄う予定である。
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