研究実績の概要 |
KCNQ1チャネルについては、修飾サブユニット存在時の電位センサーの動きを解析する目的で蛍光分子Alexa488を電位センサーに導入し、voltage-clamp fluorometry法による蛍光強度変化測定を行った。この手法を用い、KCNE3がKCNQ1チャネルの電位センサードメインに結合して常時開状態にするメカニズムを明らかにした。KCNE3は上皮細胞などでKCNQ1と共発現し、KCNQ1チャネルを常時開状態にすることでK+のリサイクルを担い、間接的にCl-の輸送に寄与している生理学的に重要なサブユニットである。本研究により、KCNE3がKCNQ1のS1セグメントに結合し、それによってS4セグメントをある状態に安定化することを示すことができた。 さらにゼブラフィッシュをモデル動物として用い、KCNQ1チャネルとHCN4チャネルという2つの心臓に発現するイオンチャネルの研究を行った。KCNQ1チャネルについては、ゼブラフィッシュに存在する3種のKCNEサブユニット、KCNE1, KCNE3, KCNE4について、コード領域とプロモーター領域をクローニングした。またGFPとの融合コンストラクトを作成し、それをゼブラフィッシュ胚に導入することでこれらのイオンチャネルサブユニットがゼブラフィッシュの心臓でも機能していることを示唆する結果を得た。HCN4チャネルについては、ゼブラフィッシュには2種のHCN4オーソログHCN4, HCN4Lが存在するので、それぞれをクローニングし機能解析を行った。ヒトのHCN4チャネルと比較することで、ゲーティングの電位依存性の違いや薬理学的性質の違いについて解析を行った。研究室ではすでにゼブラフィッシュHCN4チャネルの発現部位についての情報を得ているが、もう一つのオーソログであるHCN4Lの発現部位の解析を現在行っている。
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