研究課題
細胞外液のpHの低下は、ラット副腎髄質細胞においてTASK1様チャネルを抑制してカテコールアミン分泌を促進する。TASKチャンネルの分子実体は、2PKチャネルのTASK1またはTASK3の homomerまたはheteromerである。そこで、gene knockout法を用いて、マウス副腎髄質細胞に発現しているTASK1様チャネルの分子実体を明らかにした。pH低下による脱分極性内向き電流発生及びカテコールアミン分泌は、TASK1の遺伝子欠損により抑制されたが、TASK3の遺伝子欠損では影響されなかった。ただ、静止時の保持電流値はTASK1の遺伝子欠損によっては影響を受けなかった。マウス副腎髄質細胞の細胞辺縁には、主にTASK1様免疫反応物が局在し、TASK3様免疫反応物は存在しなかった。proximity ligation assayにより、ラット副腎髄質細胞とPC12細胞にはTASK1/3ヘテロチャネルが形成されていないことが明らかになった。しかし、p11をPC12細胞に強制発現させると、TASK1/3ヘテロチャネルが形成されるようになり、このTASK1/3ヘテロチャネルは細胞膜でなく、細胞質に局在した。p11はラット副腎髄質細胞やPC12細胞には発現していなかったが、神経成長因子により分化させたPC12細胞では発現していた。TASK1遺伝子欠損の副腎髄質細胞では、TASK1様免疫反応物が消失したが、TASK3様免疫反応物の発現増加は見られなかった。一方、2PKチャネルの一つであるTALK2チャネルの発現は、TASK1遺伝子欠損により促進された。以上の結果から、副腎髄質細胞においてTASK1ホモチャネルが酸のセンサーとして機能していると結論された。このTASK1ホモチャネルの酸センサーとしての機能は、p11が発現していないことにより促進されていると考えられる。
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