研究課題/領域番号 |
17K08558
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
田上 昭人 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 薬剤治療研究部, 部長 (60301800)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | マイクロRNA / 下垂体 / 成長ホルモン / 成長ホルモン産生細胞 |
研究実績の概要 |
近年、マイクロRNA(miRNA)による遺伝子発現・翻訳制御機構と生体恒常性維持・疾患発症と の関連が注目されている。本研究では、miRNA の細胞機能制御機構ならびに細胞間情報伝達分子としての機能を、下垂体をモデル器官として用いて検討し、下垂体ホルモン分泌、特に成長ホルモン(GH)分泌におけるmiRNA の機能を統合的に解析する。 今年度はGH産生細胞特異的にmiRNA の成熟化に関わる因子であるDgcr8 の遺伝子を欠損したマウスを用い、その表現型解析によりGH 産生細胞におけるmiRNA 機能の解明を行った。これらマウスの解析により、GH 産生細胞特異的Dgcr8欠損マウスは野生型マウスに比べ、ひとまわり小さく、低体重であること、さらに下垂体の組織学的解析によるGH産生細胞が減少し、血中IGF-Iレベルが低下していることを見出した。これらの結果は、miRNAが下垂体GH産生細胞の発生あるいは機能を制御していることを示唆している。GH産生細胞の発生あるいは機能を制御しているmiRNAを同定するため、GH 産生細胞株とGH 産生細胞前駆細胞株におけるmiRNA 発現動態を比較した。その結果、複数のmiRNAがGH 産生細胞前駆細胞株と比べGH 産生細胞株において高発現していることを見出した。これら同定されたmiRNAがGH産生細胞の発生あるいは機能を制御している可能性が考えられた。次年度において、これらmiRNAのGH産生細胞発生および機能制御への関与について、その標的遺伝子の同定等により検討を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度計画していた、GH 産生細胞特異的にmiRNA の成熟化に関わる酵素であるDgcr8 を欠損するマウスの作成は順調に進み、表現桂解析を行った。また、GH 産生細胞において発言しているmiRNAの同定も行い、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後、GH産生細胞におけるmiRNAの機能を検討するため、その標的遺伝子の同定等により、miRNAの機能を明らかにしていく。また、GH産生細胞よりmiRNAが分泌されていないかの検証を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗状況に合わせて適切に研究費を施行した結果、当初計画に比べ物品費及び旅費の執行額が下回った。これらは研究の伸展の遅れに起因するものではなく、次年度において引き続き物品費及び旅費に充当し、適切に執行する。
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