今後の研究の推進方策 |
呼吸性アストロサイトの周期性自発活動が、呼吸リズム形成に関わる詳細なメカニズムを明らかにする。そのため、以下の実験を行う。
(1) アストロサイト活動の薬理学的抑制・刺激に伴う吸息性ニューロン活動の変化: アストロサイト活動を抑える薬剤(fluoroacetate, aminoadipic acid, arundic acid, L-methionine sulfoximineなど)、アストロサイトのカルシウムオシレーションを抑えると予想されるIP3受容体阻害剤(2-APBなど)、およびアストロサイト活動を刺激する薬剤(t-ACPD)を投与した際の吸息性ニューロン活動および呼吸神経出力の変化を解析する。これら実験によって、吸息性神経出力形成におけるアストロサイトの機能的役割を明らかにする。 (2) グリオトランスミッターの受容体抑制に伴う吸息性ニューロン活動の変化: 呼吸性アストロサイトからグリオトランスミッターとして周期的に分泌され、吸息性ニューロンを興奮させている可能性のあるグルタミン酸、ATPについて、それらの受容体拮抗薬(CNQX, D-AP5, MK-801, PPADSなど)を投与した際の呼吸神経出力、および吸息性ニューロン活動を、前吸息性アストロサイト活動とあわせて、カルシウムイメージング法により解析する。 (3) 実験結果の総合的評価に基づく呼吸リズム形成理論の確立: 上記の解析結果を総合的に検討し、preBotCにおける呼吸リズム形成機構について、呼吸性アストロサイトの周期的自発活動の発生機序、それが呼吸性ニューロンと同期する機序の解明を、呼吸性アストロサイトから放出されるグリオトランスミッターの同定とともに行なう。これにより、preBotCにおいてグリア細胞が関与した呼吸リズム形成の詳細な機序を解明する。
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