研究課題/領域番号 |
17K08563
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
宮田 英威 東北大学, 理学研究科, 准教授 (90229865)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 微弱磁場 / 地磁気 / マクロファージ / スーパーオキシドアニオン / ミトコンドリア |
研究実績の概要 |
微弱磁場は大雑把にいえば地磁気の強さを減弱させたものである。この微弱磁場が細胞の生理的反応にいかなる影響を与えるかを明らかにするために、研究を続けている。わが国ではあまり顧みられていないが、中国、フランスなど、諸外国では地磁気が著しく減弱する宇宙空間での人が滞在した場合の生理的影響を知るための基礎としてかなり組織的な実験が行われている。 実験には株化マクロファージ(RAW264)を用いている。地磁気の訳10分の一(5マイクロテスラ程度)に直流磁場を減弱させた環境を実現するために磁気シールドケースの内部に細胞培養用のCO2インキュベーターを入れ、その中で細胞を培養し、実験を行っている。対照として、地磁気の垂直成分と同じ向きと大きさをもつ直流磁場(~45マイクロテスラ)をメリットコイルにて発生させ、その下で細胞を培養し、実験を行っている。 これまでにミトコンドリア膜電位の蛍光物質JC-1を用いた評価、ミトコンドリア内で産生されるO2-の蛍光物質MitoSoxRedを用いた測定、細胞内で産生されるO2-のNBTを用いた測定、細胞増殖測定を行ってきた。微弱磁場下48時間培養後に測定を行ったところ膜電位、ミトコンドリア内O2-産生、細胞数は減少する傾向を示した。一方細胞内O2-は影響を受けないことがわかった。これらの結果のうち、ミトコンドリアの膜電位に関する測定結果は第27回日本臨床環境医学会に置いてポスター発表済みであるが、ミトコンドリア内O2-と細胞増殖測定の結果は残念ながらすでに中国において得られたものと同じである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該実験とは別に修士課程の学生が2018年度から加わった。彼のテーマも磁場がマクロファージに与える細胞生理学的影響の研究であるが、同じCO2インキュベーターを用いる一方で大学院生の用いる磁場が50ヘルツサイン波であるため装置を同時に使用できないこととなってしまった。大学院生は就職を希望していたため2019年の終わりまで研究に集中する必要があり、本研究のための装置使用は実際上不可能であった。これが研究遅れの原因である。
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今後の研究の推進方策 |
地磁気によってマクロファージの生理的応答が最適化されているかどうかの検討 中国には結果において先行されているが、彼らの関心は主に宇宙旅行との関連にある。一方私は、生物が進化する上で地磁気がどのような役割を果たしてきたかに非常に興味がある。特に生理学的反応(代謝など)が地磁気の存在下で生物が進化したためそこで最適化されたのではないかと考えている。我々の研究は微弱磁場と地磁気比べた場合、いくつかの生理的パラメーターに差があることを示唆している。そこで、メリットコイルで発生させる直流磁場を地磁気の大きさだけではなくそれより小さくした場合、大きくした場合について同様の測定を行い、得られるパラメータがどのように変化するかを明らかにする。もし地磁気付近の直流磁場で差が最大ならば最適化という考えに一つの実験的手がかりが得られることになる。 得られた結果を元に本年10月をめどに論文投稿をめざす。
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次年度使用額が生じた理由 |
繰り越しのため。令和2年度使用。
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