ショウジョウバエの睡眠-覚醒を制御する中心複合体PB(protocerebral bridge)の神経回路について解析を進めた。 前年度までの研究で、覚醒促進的に働くPB-FB-NOニューロン群と睡眠促進的に働くPB介在ニューロン群は、GRASP(GFP reconstitution across synaptic partners)法により空間的に非常に近い位置にあることが示された。本年度はまず、シナプス前膜と後膜にそれぞれ分割GFPを発現させてシナプス結合を特異的に調べることできるt-GRASP法を用いて、2つのニューロン群の間のシナプス結合を示した。 睡眠を促進するPB介在ニューロンをラベルするGAL4系統(R59E08-GAL4)では、複数種類のPB介在ニューロンがラベルされており、どのニューロンが睡眠制御に関わるのかは不明である。本年度に行った研究により、R59E08-GAL4の他にも、dTrpA1チャネルを用いたニューロン活性化で睡眠が顕著に促進されるGAL4系統を見出した。このGAL4系統も発現パターンからPB介在ニューロンをラベルすることが示唆され、現在、R59E08-GAL4との間で共通してラベルされるPB介在ニューロンがあるかを調査中である。 睡眠-覚醒制御に関わるPB神経回路を構成する3種類のニューロン(PB-FB-NOニューロン、PB介在ニューロン、T1ドーパミンニューロン)間の機能的なつながりを解明するために、GCaMPを用いたCa2+イメージングを行ったが、機能的なつながりを示すGCaMPシグナル変化は観察できなかった。実験条件を検討し、引き続き解析する予定である。
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