研究課題
雌性のエストロゲンは、海馬の担う空間学習機能に対して負の作用があることを、我々は、行動学、形態、機能(電気生理)学の観点から明らかにしてきた。一方、餌の固さは、雌性特異的に作用する。具体的には、柔らかい餌で飼育すると海馬空間学習機能に対して雌性特異的に、逆に正の作用のあることを報告してきた。今年度からの3年間でこの雌性特異的な作用機序について明らかにすることを目的としている。初年度は、本年度の結果を左右する昨年度までにやり残した海馬LTP実験とAMPA/NMDA比の実験を中心に進めた。2種類の異なった海馬空間学習を負荷して、単一の場合と、2つの学習をあわせて負荷することにより、海馬機能を評価した。また、エストロゲンの作用、餌の固さの作用をあわせて検証した。その結果、行動学的には、単一の学習の場合は、エストロゲンの濃度が低いことが正の作用につながり、エストロゲンの濃度が高い場合は、餌の固さの正の作用が顕著になること、餌の固さの正の作用はエストロゲンの負の作用に優ることが推測された。電気生理学的には、LTP実験、AMPA/NMDA比から見た場合は、同じように、餌の固さの正の作用がエストロゲンの負の作用に優ることが推測された。また、rectification indexの実験からもこの仮説を支持している。
4: 遅れている
電気生理学の実験でやり残しがあるのと、行動学の実験で一部完遂していない解析があるため。
昨年度の電気生理学および行動学の実験を完遂して、新年度は、エストロゲン受容体αとエストロゲン受容体βにそれぞれ特異的なアゴニストを用いた実験を行う予定である。
今年度は、実験のやり残しがあったことと、消耗品のストックを使用したため、見かけ上、あまり消耗品を使ってないように見えるが、その分、新年度に大量に必要なため。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件)
Neurosci Lett.
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