研究課題/領域番号 |
17K08582
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
丸山 崇 産業医科大学, 医学部, 准教授 (20533194)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | バゾプレッシン / オキシトシン / 薬理遺伝学 / 脳組織透明化 |
研究実績の概要 |
バゾプレッシン及びオキシトシンの社会性行動に関する生理的役割を解明するため、視床下部-下垂体-副腎皮質系(HPA 系)の賦活により、バゾプレッシン及びオキシトシンニューロンの活性化やペプチドの分泌の状態を観察する実験を重ねてきた。 バゾプレッシン、オキシトシンの生理的作用を解明するため、薬理学的反応により特定のニューロンを活性化可能とする技術である薬理遺伝学的手法(DREADDs)を用いた実験モデルを確立し、実験を行った。薬理遺伝学的手法によって、バゾプレッシンニューロンを活性化出来る遺伝子改変ラットの作出に2017年度に成功し(Yoshimura et al., Sci Rep. 2017)、2018年度は、この実験モデルを用いて、雌ラットにおけるエストロゲンとバゾプレッシン発現の関係を解明し、論文発表を行った。(Nishimura et al, Sci Rep. 2019)また、オキシトシンニューロンを薬理遺伝学的手法によって活性化可能とするオキシトシンDREADDs遺伝子改変ラットの開発も進めており、現在、飼育繁殖とともに、その特性を調べ、実験へ用いる準備を行っている。同時に、バゾプレッシン、オキシトシンの神経回路をより詳細に解明するために、脳組織透明化の手法を用いて、観察を行っている。また、腎機能とバゾプレッシンの関係について、バゾプレッシン発現を緑色蛍光タンパクをマーカーとして、その動態を調べ発表を行った。(Ueno et al, J Physiol Sci. 2019 ) これらの手法を用いて、バゾプレッシンニューロンおよびオキシトシンニューロンを興奮させた際の行動観察を行い、その際の視床下部-下垂体系の神経ペプチドの発現を観察することで、バゾプレッシンおよびオキシトシンのストレス反応や社会性行動、生体リズムにおける役割が解明されることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
薬理遺伝学的手法(DREADDs)を用いた、バゾプレッシンニューロン活性化が可能な遺伝子改変ラットの作出に成功し、CNOによるバゾプレッシンニューロン活性化の実験によって体内水分調節や生体リズム機構との関係が分かってきている。また、この実験モデルを用いて、雌ラットにおけるエストロゲンとバゾプレッシン発現の関係を解明し、論文発表を行った。(Nishimura et al, Sci Rep. 2019) また、オキシトシンDREADDs遺伝子改変ラットの開発も進んでおり、基礎的な性質の確認が出来れば、実験モデルとして確立出来る段階に至っている。 脳組織透明化に関しては、CUBIC法を用いて脳の透明化に成功し、透明化の手技は確立できた。さらに詳細なニューロンのネットワークを解明するための、観察手法の確立を目指している。
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今後の研究の推進方策 |
薬理遺伝学的手法(DREADDs)を用いた、遺伝子改変ラットの飼育繁殖飼育繁殖がスムーズにいくための環境整備に努める。 また、バゾプレッシンDREADDs遺伝子改変ラットに続き、オキシトシンDREADDs遺伝子改変ラットの実験モデルとしての確立を急ぐ予定である。 視床下部-下垂体-副腎皮質系(HPA 系)の賦活により、バゾプレッシン及びオキシトシンニューロンの活性化やペプチドの分泌の状態を観察する実験を継続していく。 脳組織透明化に関しては、透明化手技は確立しているため、必要に応じ透明化を行い、バゾプレッシン及びオキシトシンニューロンのネットワーク解明を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験遂行に必要な経費を使用したが、購入物費が計画より安価であったことや、旅費を使用しなかったことで次年度使用額が発生した。次年度使用額は、物品費(試薬等の購入)として使用する予定である。
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