研究実績の概要 |
バゾプレッシン及びオキシトシンの社会性行動に関する生理的役割を解明するため、視床下部-下垂体-副腎皮質系(HPA 系)の賦活により、バゾプレッシン及びオキシトシンニューロンの発現変化を観察する実験を行った。 バソプレッシンに関しては、様々なストレス負荷時のペプチド発現の動態を観察したが、腎機能とバゾプレッシンの関係について、バゾプレッシン発現を緑色蛍光タンパクをマーカーとして、その動態を調べ発表を行った。(Ueno et al, J Physiol Sci. 2019 )また、腎障害時の摂食行動に視床下部の各種神経ペプチドが関わっていることを明らかにし、論文発表を行った。(Ueno et al, Neuroscience Letters. 2019)また、オキシトシンの生理的作用を解明するため、薬理学的反応により特定のニューロンを活性化可能とする技術である薬理遺伝学的手法(DREADDs)を用いた実験モデルを確立し、実験を行った。当研究室では、薬理遺伝学的手法によって、バゾプレッシンニューロンを活性化出来る遺伝子改変ラットの作出に2017年度に成功し(Yoshimura et al., Sci Rep. 2017)、2018年度は、この実験モデルを用いて、雌ラットにおけるエストロゲンとバゾプレッシン発現の関係を解明し、論文発表を行った。(Nishimura et al, Sci Rep. 2019)また、オキシトシンニューロンを薬理遺伝学的手法によって活性化可能とするオキシトシンDREADDs遺伝子改変ラットの開発も進めており、既に飼育繁殖が行われ、CNO投与によりオキシトシンニューロンが活性化されることが、cfosタンパクの発現により確かめられた。今後、オキシトシンの生理的役割解明のために有用な動物モデルになることが期待される。
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