計画初年度の本年度はMunc13-1の細胞内での微細配置を超解像顕微鏡によるイメージングに供するための標本作製条件の最適化が順調に進んだ。Munc13-1を始めとしてその他開口放出関連分子の哺乳類細胞での発現コンストラクトを作製した。また神経細胞へのシナプス関連分の発現のためにレンチウイルスベクターやアデノ随伴ウイルスベクターを発現し、これらの発現効率や細胞内局座についての評価を行った。 また、蛍光のON/OFFスイッチングによって得られた蛍光輝点の位置情報から細胞内分子の微細配置を観察できる超解像顕微鏡法である蛍光分子局在化法を可能にする新規蛍光分子タグ技術の開発にも取り組んだ。蛍光消光団と蛍光団からなる化合物が抗消光団抗体と結合することで蛍光消光が解除され、蛍光がONになる仕組みを培養細胞で評価した。抗消光団抗体の培養細胞内での発現量や用いる化合物の種類、励起光の強度等によって蛍光分子局在化法に最適な蛍光輝点の密度や蛍光ONの持続時間を調節できることが確認できた。また、シナプス関連分子を含む複数の分子と抗消光団抗体との融合タンパク質の発現コンストラクトを作製し、培養の神経細胞や非神経細胞に遺伝子導入により発現させたところ、それぞれの分子に期待された細胞内での分布を示すことが確認できた。これらと合わせて、生細胞での高速蛍光画像取得に適した顕微鏡システムの整備を進め、これまでに高速EM-CCDカメラを複数台設置して様々な細胞の厚さにも対応して高速かつ高精細な超解像イメージの取得に向けて準備を開始した。
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