研究課題
感染に対する制御不能な宿主反応による生命に関わる臓器不全と,2016年にその定義が見直された敗血症においては,敗血症性ショックや多臓器不全への進展を回避するための時宜を得た治療法を見出すことが,現在救命救急領域で求められているニーズである.敗血症はその進行に伴い,炎症と血液凝固のcross-talkによりその過剰状態に至る播種性血管内凝固(DIC: Disseminated Intracellular Coagulation)を誘発し,多臓器不全の重要な原因の一つと考えられている.盲腸結紮穿孔(CLP)を行い,腹膜炎発症による敗血症を生じさせた多菌性敗血症マウスにおいて,DIC時の血液凝固に関わるとされる分子群である組織因子(TF: tissue factor),plasminogen activator inhibitor-1(PAI-1)の遺伝子およびタンパクレベルの組織内の上昇,および血小板減少に対し,種々の炎症性サイトカイン増加を誘発する転写因子であるNF-κBのデコイ核酸を遺伝子導入したが,抑制効果は認められ買ったことから,敗血症性DICにNF-κBは関与していないことを明らかにした。
1: 当初の計画以上に進展している
盲腸結紮穿孔敗血症マウスモデルでDICが起こっていることが見出され,最終度には,敗血症誘発性DICに対するNF-κB以外の転写因子であるAP-1とSATA3のデコイ核酸を遺伝子導入した際の効果の検討に着手できる。
盲腸結紮穿敗血症マウスを作成し,その後に,転写因子AP-1またはSTAT3のデコイ核酸を遺伝子導入して,血小板減少が改善し得るか,プロトロンビン時間の延長が改善されるか,肺組織で敗血症発症早期に認められる組織因子(TF)の増加や,肺・心・腎・肝組織で敗血症後時間依存性に認められるPAI-1の増加に対する効果を検討していく。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件)
Immunobiology
巻: 223 ページ: 777-785
org/10.1016/j.imbio.2018.08.003
Int Immunopharmacol
巻: 62 ページ: 121-131
org/10.1016/j.intimp.2018.06.021
Eur J Pharmacol
巻: 833 ページ: 403-410
org/10.1016/j.ejphar.2018.06.031
Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol
巻: 391 ページ: 1021-1032
org/10.1007/s00210-018-1527-z