研究課題
免疫寛容とは、本来反応しうる抗原に対して、その反応が抑制される状態である。その基本は、自己抗原に対する免疫不応答、即ち免疫自己寛容の獲得にある。生体内における免疫寛容獲得の重要なメカニズムの一つとしてCD4+CD25+制御性T細胞(Treg)による免疫抑制が知られている。これまでの研究によりTreg細胞の異常は免疫寛容の破綻を来たし、自己免疫疾患やがんの原因となりうることが明らかになっているが、その分化メカニズムについてまだ不明な点が多い。本研究ではTreg細胞の分化にアクチン重合因子mDiaがどうのように関わっているのかを明らかにすることを目指し、研究を行った。これまで得られた主な成果として、1) mDia1/3二重欠損(DKO)マウスにおいて、胸腺でのnTreg細胞産生の障害及び2次リンパ組織及び末梢血でのTreg細胞の減少を見出し、mDia1/3がnTreg細胞の分化に促進的に働くことを見出した。 2) Tamoxifen誘導型mDia1/3のconditional knockoutマウス(cDKO)よりnaive CD4 T細胞を単離し、in vitroでiTreg細胞の分化誘導を行い、mDia1/3がiTregの分化においても不可欠であることを見出した。3) F-actinの蛍光標識であるEGFP-lifeactをT細胞に導入し、Treg細胞への分化に不可欠であるTCR刺激を加えた時に、mDia1/3欠損T細胞のF-actin構造及び動態が著しく阻害されることを見出した。4. mDia1/3 cDKOとEGFP-foxp3の掛け合わせを行い、Treg細胞が蛍光標識されるmDia1/3 cDKOを作成した。
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Science Advances
巻: 6 (1) ページ: eaay2432
10.1126/sciadv.aay2432
http://www.mic.med.kyoto-u.ac.jp/dddm/publications