研究実績の概要 |
活性酸素産生酵素NOX1/NADPHオキシダーゼは大腸上皮細胞に高発現するが、脾臓細胞においても恒常的な発現が認められる。本研究では、未だ明らかでないNOX1の免疫細胞における役割を明らかにすることを目的とし解析を進めた。野生型およびNox1遺伝子ノックアウトマウス(Nox1-KO)を用いて、オボアルブミン誘発性喘息モデルを作製し解析したところ、気管支肺胞洗浄液中の好酸球浸潤および肺におけるIL-4, IL-13 mRNA発現増加は両群において同等であった。一方、低容量LPSによって惹起されるコラーゲン誘発性関節炎モデルでは、クリニカルスコアおよび関節炎発症率についてNox1-KOで有意な減少が認められた。血清中抗コラーゲン抗体量は両群において同等であった。低容量LPS投与前の未発症マウスより摘出した脾細胞を用いて、コラーゲン抗原に対するサイトカイン応答を測定したところ、両群において同等のIFNg, IL-17産生が認められた。一方、低容量LPS投与2時間後に脾臓のNox1 mRNA発現が著名に増加することを見出した。以上のことから、Nox1はプライミング相ではなく、LPSによって惹起される関節炎発症に関与することが示唆された。
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