研究課題
多発性硬化症(MS)の発症要因や機序については、一部のサイトカインなどの因子の関与が指摘されているものの十分には解明されていないのが現状である。我々は、クプリゾン(CPZ)誘発脱髄モデルと膜型プロスタグランジン(PG)E2合成酵素-1(mPGES-1)欠損マウスを用いたこれまでの解析によって、MSの病態形成におけるCOX-2/mPGES-1/PGE2系の重要性を示唆する結果を得ている。一方、MSの病態形成において増悪因子となりうる主要な炎症性サイトカインの発現動態に注目してmPGES-1欠損マウスとその対照となる野生型マウスで比較検討したが、両群間に差を認めなかった。今回、抗炎症性サイトカインについて検討を行ったところ、主要な抗炎症性サイトカインであるIL-10の発現動態が両群間で異なることを示唆する結果を新たに得た。mPGES-1/PGE2系の標的となる更なる脱髄・再髄鞘化関連分子を同定するために引き続き検討を行う予定である。
4: 遅れている
コロナ禍での実験動物施設の運用規模縮小と新施設運用開始遅延等の影響で、当初予定していた遺伝子組換え実験動物の繁殖・必要数の確保ができず本研究は大幅に遅れている。予定していたmPGES-1/PGE2系の標的となる脱髄・再髄鞘化関連分子についての全貌解明には至っておらず、更なる解析を行う必要がある。
MSの病態形成機序の解明を目指して、COX-2/mPGES-1/PGE2系の標的となる脱髄・再髄鞘化関連分子の全貌を明らかにするためにin vivoおよびin vitroの両実験系を利用して解析を継続して進める。MSにおけるmPGES-1/PGE2系の役割の詳細を解明したいと考えている。
実験系のスケールを可能な限り小さくすることによって酵素等の試薬の必要量を最小限にして検討を行うことが出来たため、当初の計画よりも節約して研究を進めることが可能であった。また、本研究計画で要となる系統の遺伝子改変マウスの繁殖について、当初予定していた必要数の動物を得ることができず、本研究に遅れが生じたため次年度使用額が生じた。購入予定であった各種抗体等を次年度で購入するとともに、一部を学会および論文における研究成果発表のための費用にあてる予定である。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 5件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
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