研究課題/領域番号 |
17K08611
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛 |
研究代表者 |
中島 正裕 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 免疫・微生物学, 助教 (70738103)
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研究分担者 |
中島 弘幸 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 免疫・微生物学, 助教 (10574064)
石塚 俊晶 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 薬理学, 教授 (30399117)
木下 学 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 免疫・微生物学, 准教授 (70531391)
関 修司 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 免疫・微生物学, 教授 (80531392)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ピオグリタゾン / 肝臓 / Kupffer細胞 / アセトアミノフェン |
研究実績の概要 |
我々は、ピオグリタゾン(PIO)投与が細菌感染の予防に有用であることを検証した一方、本薬剤がアセトアミノフェン(APAP)肝障害も軽減させることを偶然見出した。つまり大量(500mg/kg)のAPAPをC57BL/6マウス(8週齢、雄)に腹腔内投与すると24時間後に静脈血中のALTが5000 IU/lにまで上昇し、100時間後には約6割が死亡した。ここでAPAP投与の30分から1時間後にPIOを腹腔内投与すると、ALTは1000~2000 IU/l程度までしか上昇しない。また死亡率も約1割にまで改善できた。 APAP肝障害は、代謝産物であるN-アセチルパラベンゾキノニミン(NAPQI)や過酸化水素などの活性酸素が原因と考えられている。NAPQIは肝細胞内で各種酵素・蛋白と結合し、活性酸素と共に脂質の過酸化を引き起こすことで、肝細胞を壊死させる。細胞内に少量のNAPQIが存在しても抗酸化物質である還元型グルタチオン(GSH)により処理・無毒化されるが、アセトアミノフェンの大量摂取時にはNAPQIがGSHを枯渇させるため、NAPQIが肝細胞内に蓄積し、毒性を発揮する。PIOを投与したマウスでは、APAPが投与されても肝組織におけるGSH低下を軽減させることを今回の研究にて見出した。 またAPAP中毒モデルではPPAR-γに依存した。つまり、PPAR-γ阻害剤であるGW9662を投与するとPIOによる効果が減少し、APAP中毒に伴う死亡率が増加する。興味深いのは、PPAR-γを阻害したマウスではAPAP投与に伴い著明な腎障害を認めたことである。病理学的には、そうしたマウスの腎臓は急性尿細管障害を呈しており、骨格筋については横紋筋障害を認めた。 こうしたAPAP中毒におけるPIOの薬理活性について、現在も酸化ストレスの観点から検証中である。
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