研究課題/領域番号 |
17K08636
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
坂根 亜由子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 准教授 (60509777)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | JRAB / 1分子構造変化 / 蛋白質間相互作用 / 集団的細胞運動 / 階層的解析 |
研究実績の概要 |
これまで、研究代表者は、効率の良いバランスのとれた細胞集団の動き(集団的細胞運動)には、その時の状況や細胞集団内での場所に応じて臨機応変に起こるJRABの構造変化が重要であることを明らかにしてきた。本研究では、まず、その時、その場所で、JRABが構造をいかにして変化させ、維持しているのか、どのようなシグナルがその誘引となるのかを明らかにし、JRABの構造変換機構の時空間的な理解を目指す。次に、これまでの細胞レベルでの解析を個体レベルにまで発展させる。そのために、ゲノム編集技術を用いて内在性のJRABをJRABの構造変異体(JRABΔCC:常にopen form, JRABΔCT:常にclosed form)に置換したマウスを作製し、JRABの構造変化の生体内での生理的意義を明らかにする。また、これまでに研究代表者はJRABがアクチン線維と直接結合することやopen formのJRABのみがアクチニン-1/-4およびフィラミンといった複数のアクチン結合蛋白質と特異的に相互作用することを見出しており、いずれもJRABの異なる領域に結合することを生化学的に示している。そこで、本研究では、アクチン線維やJRAB結合蛋白質群とJRABの複合体構造モデリングを行い、得られた情報をもとにJRABの構造変化に伴って起こる蛋白質間相互作用の役割を細胞レベルで検証するとともに上記のようにゲノム編集技術を用いて蛋白質間相互作用を失ったマウスを作製して解析することで個体レベルにおいてもその重要性を明らかにすることを試みる。集団的細胞運動は、胎生期の組織・器官形成や創傷治癒の過程だけでなく、がん転移の際にも広く認められる現象である。したがって、その制御機構を理解することは、生物学的および生理学的に重要であるだけでなく、発生異常の病態解明およびがん転移機構の解明につながる可能性が高く、医学への貢献が多いに期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、CRISPR-Cas9 システムによるゲノム編集を行って内因性のJRABをJRABの構造変異体(JRABΔCC;open form、JRABΔCT; closed form)に置換したノックインマウスの作製に成功し、解析に用いるHomoマウスも準備できている。また、JRABの構造変換機構の解析のため、生化学とバイオインフォマティクスを組み合わせたアプローチで得られた成果を基にJRABのN末端とC末端のリコンビナント蛋白質の複合体の結晶化を目指し、すでに、量・精度いずれの面においても結晶化解析に十分に耐え得るサンプルの調製に成功している。さらに、フィラミンやアクチニンとの相互作用に必要なドメインを欠損させたJRAB変異体を発現した細胞株を作製し、細胞レベルでの影響を調べており、各々の相互作用が担っているアクチン細胞骨格制御とその役割を明らかにしつつある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、作製したJRABの構造変異体のノックインマウスの解析を進めていく。JRABの構造解析においては、open formのJRABに特異的に結合するフィラミンのJRAB結合部位との共結晶化も進め、フィラミンのJRABの構造変換における役割を明らかにしていく。また、30年度の計画として挙げていた(1)細胞集団先頭部でJRABの構造変化を引き起こすシグナルの同定、(2)JRABの構造変化に伴う蛋白質間相互作用の役割の解明についても順次進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度を跨いでノックインマウスの維持やその解析を行うための試薬類の購入が必要であったため。
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