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2022 年度 実施状況報告書

HIV転写制御メカニズムの解析と新規薬剤開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K08638
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

朝光 かおり  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (20381783)

研究分担者 岡本 尚  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 名誉教授 (40146600)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2024-03-31
キーワードHIV / 転写制御 / Tat / CDK9 / Cyclin T1
研究実績の概要

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症/AIDSの感染者数は全世界で約39万人、毎年の新規感染者数は1.8万人、死亡者は940,000人と推定されており、未だ猛威をふるう感染症である。その治療法は確立されたものの、根治療法ではなく、生涯にわたり治療を受けることが要求される。その為、耐性ウイルスの出現や重篤な副作用が問題となっており、これらを克服する新しいHIV 治療薬の開発が望まれている。
その最適な標的の一つがHIV転写活性過程である。本過程は、主に宿主転写因子NFκBとウイルス由来の転写活性化因子Tatにより制御されている。後者のTatによる転写活性化は、宿主の転写伸長因子P-TEFb(CDK9とcyclin T1 の複合体)によって担われており、これらがHIV転写活性化複合体(Tat/P-TEFb複合体)を形成することでHIV転写が活性化される。本過程は特に潜伏感染状態を制御する重要な過程にも関わらず、それを標的としたHIV治療薬は現在開発されていない。
本年度は、Tat特異的に形成されるCDK9キャビティを用いたin silicoスクリーニングから見出されていたCDK9阻害化合物について詳細に解析を行った。その結果、CDK9に対してin vitroで最も強い阻害活性を示す化合物#127がCDK6についてもin vitroで阻害効果を示すことを見出し、その理由としてCDK9のhidden cavity がCDK6でも保存されていることを見出した。また、CDK9とCDK6のcavityの比較から、CDK9のキナーゼ活性に極めて重要なアミノ酸残基は、CDK9のhidden cavityを構成しているアミノ残残基であるIle61であることが示唆された。本知見はCDK9のhidden cavityが新規CDK9阻害剤の開発に不可欠な情報を提供し、HIV転写を標的とした新規HIV治療薬の開発に大きく寄与するものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

新型コロナウイルス感染症の影響を受け、研究の進行に遅れが生じた。

今後の研究の推進方策

現在得られている成果を論文として公表するとともに、Tat阻害剤についてさらに検討する。

次年度使用額が生じた理由

進捗に遅れが生じたため、論文発表などの成果発表等に利用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Identification of a novel CDK9 inhibitor targeting the intramolecular hidden cavity of CDK9 induced by Tat binding2022

    • 著者名/発表者名
      Kaori Asamitsu, Takatsugu Hirokawa, Takashi Okamoto
    • 雑誌名

      PloS One

      巻: 15 ページ: e0277024

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0277024.

    • 査読あり
  • [学会発表] Tat特異的に誘導されるCDK9の局所構造(CDK9 hidden cavity)の構造特性と新規CDK阻害剤の探索2022

    • 著者名/発表者名
      朝光かおり、広川貴次、岡本 尚
    • 学会等名
      第95回日本生化学会大会

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公開日: 2023-12-25  

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