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2019 年度 実績報告書

Ras変異体が誘導する新規チロシンリン酸化シグナルとがん悪性化の新機構

研究課題

研究課題/領域番号 17K08641
研究機関自治医科大学

研究代表者

太田 聡  自治医科大学, 医学部, 講師 (40528428)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードRas / Mer / IL-33 / がん / がんの悪性化
研究実績の概要

本研究は、新規発がんシグナルRas/IL-33経路の役割の解明を目的として行われてきた。これまでに、私たちはがん化型Ras(G12V)変異体による細胞の形質転換では、チロシンキナーゼMerの発現がIL-33依存的に亢進し、Ras(G12V)による細胞遊走能の亢進をMerが促進することを見出した。そこで、Merのリン酸化とキナーゼ活性の、Ras (G12V)が誘導する細胞遊走能に対する影響を検討した。shRNAを用いてMerまたはIL-33の発現を抑制した細胞に、shRNA耐性の野生型MerまたはMerのキナーゼ不活性型変異体を発現させた。次に、それぞれの免疫沈降産物について抗リン酸化抗体でイムノブロットしたところ、野生型MerのみがRas (G12V)により形質転換した細胞において強くリン酸化された。また、IL-33の発現抑制によるRas (G12V)の細胞遊走能の低下を野生型Merの発現はレスキューできたが、キナーゼ不活性型変異体の発現はレスキューできなかった。これらの結果から、Ras/IL-33経路によってMerはリン酸化され、Merのキナーゼ活性はRasによる細胞遊走能の促進に必要であることが明らかとなり、Ras/IL-33経路は、Merを介してがんの発症と悪性化を結びつけていることが示唆された。一方で、私たちは、代表的な細胞遊走因子であるRac1の阻害剤は、Ras (G12V)による細胞遊走の亢進に影響しないことを見出した。よって、Ras/IL-33/Mer経路は、Rac1を介さずに細胞遊走を亢進していると考えられる。そこで、Mer結合タンパク質を質量分析法により解析したところ、STK38とARHGAP18を同定した。STK38とARHGAP18は共に細胞遊走に関与することが報告されており、今後、Ras/IL-33/Mer経路の下流における役割の解明が必要である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Oncogenic Ras mutant causes thehyper-activation of NF-kB via acceleration of its transcriptional activation.2019

    • 著者名/発表者名
      (10)Tago K, Funakoshi-Tago M, Ohta S, Kawata H, Saitoh H, Horie H, Aoki-Ohmura C, Yamauchi J, Tanaka A, Matsugi J, Yanagisawa K.
    • 雑誌名

      Mol Oncol.

      巻: 13(11) ページ: 2493-2510

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 細胞遊走を亢進する新規RasシグナルRas/IL-33/MerTK経路の解析2019

    • 著者名/発表者名
      太田聡、多胡憲治、松儀実広、柳澤健
    • 学会等名
      第42回分子生物学会
  • [学会発表] 神経線維腫症 I型由来細胞において Rasと ARFの機能的相互作用は miR-222-3pの発現を介 して p27Kip1の発現を制御する2019

    • 著者名/発表者名
      多胡 憲治、多胡 めぐみ、藤原 研、小宮根 真弓、太田 聡、大村 千尋、齊藤 博司、大多和 宏季、松儀 実広、大槻 マミ太郎、大野 伸彦、山内 淳司、柳澤 健
    • 学会等名
      第42回分子生物学会
  • [学会発表] ST2Lの新規結合タンパク質IFITM3はST2Lのリソソーム分解を介してIL-33シグナルを制御する2019

    • 著者名/発表者名
      多胡 憲治、多胡 めぐみ、太田 聡、大村 千尋、松儀実広、富永眞一、柳澤健
    • 学会等名
      第92回日本生化学会大会

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公開日: 2021-01-27  

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