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ミトコンドリアの膜はリン脂質二重層で構成されている。ミトコンドリアの膜において最も豊富なリン脂質はホスファチジルコリン(PC)である。PCはミトコンドリアの内膜、外膜、膜管腔などの構造物の区画化にだけでなく、ミトコンドリアの多彩な機能に不可欠である。ミトコンドリアにはPC合成酵素がなく、PCは小胞体で合成される。そのため、PCは小胞体で合成された後、ミトコンドリアへ輸送されると考えられる。これまで、申請者はこの脂質輸送に関わると考えられるタンパク質StarD7を見出し、本タンパク質がミトコンドリアのPC量の保持や機能の健全性維持に重要であることを見出してきた。昨年、StarD7の変異がミトコンドリア関連疾患の原因になり得るかを調べるため、マウス筋芽細胞株C2C12細胞およびヒト初代筋芽細胞のStarD7を欠損させ、筋菅繊維への分化が受ける影響を解析した。その結果、StarD7の欠失により筋管繊維の形成が著しく阻害されることが見出された。本年度は本タンパク質の変異による影響を個体のレベルで調べるため、骨格筋特異的にStarD7が欠失するコンディショナルマウスの作製を開始した。現在、StarD7-floxマウスやMyf5-Creマウスなどの入手および洗浄化が終了し、交配によって目的のマウスを作製している。今後はミオパシー様の病態が見られるか否かを組織学、細胞生物学、生化学、および行動学的に解析する。
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