研究課題/領域番号 |
17K08647
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
冨永 宏治 福岡大学, 薬学部, 准教授 (10509623)
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研究分担者 |
古賀 允久 福岡大学, 薬学部, 助教 (60570801)
山内 淳史 福岡大学, 薬学部, 准教授 (90341453)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | COPD / エストロゲン / リポキシンA4 |
研究実績の概要 |
炎症性肺疾患である慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、加齢に伴いエストロゲン減少を示す女性の患者死亡率が増加することが知られている。また、COPDが全身性慢性炎症性疾患であることから情動障害や代謝性疾患など性ホルモンの変動が危険因子となる疾患の形成・進展にも影響を与える。 本研究は、エストロゲンの変動と慢性炎症のマーカーとして注目される血清アミロイドA(SAA)およびリポキサンA4(LXA4)の関連性に着目し、「SAA/LXA4バランスによりCOPD病態は制御され、女性更年期によるエストロゲン産生の減少が、SAA/LXA4不均衡を引き起こす事で、COPD進行を加速させる。」という仮説を検証し、これを基盤としてその防御法を探索するものである。 本年度は、エステラーゼ誘発COPD形成期及び増悪期病態におけるSAA及びLXA4の病態生理学的機能の変化に対する性差と更年期の影響について検討を行った。 その結果、卵巣摘出によりエラスターゼ誘発COPDモデルマウスでは、肺胞径の拡大が増悪された。しかし、血中酸素飽和度の低下は、エストロゲン存在下でエラスターゼ投与を行ったものと差は認められなかった。 また、卵巣摘出マウスの肺胞洗浄液(BALF)中のLXA4は、エストロゲン存在下の状態に比べて増加していた。しかし、この増加はエラスターゼ投与では変動しなかった。一方、SAAの関与は認められなかった。 肺組織におけるLXA4受容体であるALX/FPR2受容体は、主に気道に分布していたが、エラスターゼ投与で肺胞にも発現が認められた。しかしこの発現は卵巣摘出モデルでは認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、COPDモデルに関して、異なるエラスターゼの投与量、投与回数によりCOPD増悪期モデルと形成期モデルを作製して研究を行う予定であった。この形成期モデルの検討に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の遅れとなった形成期モデルについて、検討を中断し、増悪期モデルのみで研究を遂行する。今年度検討予定であった、ALX/FPR2受容体の発現量、mRNA発現に関してはすでに測定サンプルを準備済みである。
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