インスリン分泌において細胞内ATP量の上昇は重要であるが、少なくともMLCKのインスリン分泌に果たす機能についてはATP量変化とは区別されるべきである。今回は2つの疑問が解明できなかった。1つはミトコンドリアATP合成酵素が阻害されても細胞内ATP量が増加すること。もう1つは細胞内ATP量がインスリン分泌に重要なレベルに達してもMLCKを阻害するとインスリン分泌が低下すること。前者は解糖系ーミトコンドリアによるATP合成系とATP消費との総合的な研究がエネルギー代謝制御の分野において益々必要である。後者はMLCKはATP亢進後の段階 (分泌顆粒の輸送など)で重要な役割を担っていると結論づける。
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