本申請研究期間内に、遊離脂肪酸や炎症反応がiNOSを介して膵β細胞機能不全を惹き起こすメカニズムを解明する予定であったが、体調不良に伴う長期入院のため研究継続が困難となった。そのため、2型糖尿病における膵β細胞機能不全について、マウスモデル、単離ラ氏島、膵β細胞株を用いた、これまでの知見から推測された仮説の検証は、東京医科歯科大学の篠崎昇平非常勤講師、および昭和大学の谷岡利裕准教授らへ引継ぎ、予定した研究を継続した。予定していた以下4つの仮説(1.遊離脂肪酸や炎症性サイトカインによる膵β細胞機能不全は、iNOS阻害により予防できること。2.iNOSはS-ニトロソ化を介してGSK-3βを活性化させること。3.β-カテニンと結合して転写因子として機能するTCF7L2はPDX1の転写を増加させること。4.iNOSはGSK-3βによるβ-カテニンのリン酸化を介してTCF7L2の転写活性を低下させること。5.S-ニトロソ化蛋白を減らすS-ニトロソグルタチオン還元酵素(GSNOR)には膵β細胞機能不全を防ぐ作用があること。)については予定の半分を遂行できたが、研究成果をまとめるまでには至らなかった。
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