2019 年度研究成果報告書

がん浸潤・転移を制御する新規標的分子：EMP1のがん細胞における分子作用機序

研究課題

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研究課題/領域番号	17K08657
研究種目	基盤研究(C)
配分区分	基金
応募区分	一般
研究分野	病態医化学
研究機関	滋賀医科大学
研究代表者	清水昭男滋賀医科大学, 医学部, 助教 (30769279)
研究期間 (年度)	2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード	がん / 浸潤 / 転移 / EMP1
研究成果の概要	がんの浸潤・転移の制御機構を解明する研究を行なった。がん細胞と周囲組織の接触モデル作製しがん細胞でEpithelial membrane protein 1（EMP1）の発現が上昇していることを見出した。マウスモデルまたは細胞培養系においてEMP1発現の上昇ががんの浸潤・転移を亢進することを明らかにした。悪性度の高いがん患者の検体でEMP1が有意に高く発現していることを明らかにした。EMP1の細胞内領域に結合する分子Copine-IIIを質量分析法で新たに見出し、その複合体はSrc、Vav2、Rac1を活性化することでがん細胞の運動を亢進させ、がんの浸潤・転移を促進していることを明らかにした。
自由記述の分野	血管新生
研究成果の学術的意義や社会的意義	本研究は、がん細胞と正常細胞の相互作用によってEMP1の発現が上昇することを明らかにし、浸潤・転移への寄与を明らかにした点に新規の学術的意義がある。EMP1は悪性度の高いがん患者検体においてその発現が上昇していたことを明らかにしたが、EMP1は細胞膜タンパク質であり、外部から抗体や薬剤などでその作用を阻害しやすいことは臨床応用へ進む上で大きな利点である。本研究の成果から、がんの治療標的あるいは分子マーカーとしてEMP1 は有用である可能性が示された。