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2017 年度 実施状況報告書

MLL複合体の固形癌進展における機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 17K08662
研究機関長崎大学

研究代表者

米田 光宏  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (80508367)

研究分担者 伊藤 敬  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (90306275)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード複合体
研究実績の概要

【研究成果】正常型MLL複合体と変異型MLL複合体の構成因子の違いを比較検討し、変異型MLLによるエピゲノム変化(抗がん剤耐性獲得など)の分子メカニズムを、固形癌をモデルに解析を進めることが目的である。よって、MLLに異常がある場合の複合体構成因子との比較をするため、先ずMLLに変異が無い細胞で、MLL正常の場合の複合体構成因子について調べた。FlagタグをMLLに付けた発現ベクターを用いて、ヒト子宮頸癌の細胞株であるHeLa S3に遺伝子導入させクローニング行った。しかし、分子量が大きいためか精製した複合体が十分に得られなかったため、MLL複合体構成因子として既知のMEN1, BRD4, AF4, およびAF9の安定発現細胞株を樹立し複合体を精製した。また、MLL遺伝子異常を有する固形癌に対する早期診断・予後診断や、より有効な分子標的療法の発見につながる礎となる知見を得るため、変異型MLL複合体形成の阻害化合物をスクリーニングする実験系を確立した。
【今後の研究の展開】本研究課題では以下の4つの課題に取り組み、変異型MLLによる癌化の作用機序を解析していく。I) 変異型MLL複合体特異的構成因子や固形癌細胞の維持に必須の構成因子の同定 II) 変異型MLL複合体の形成阻害化合物スクリーニング III) 変異型MLL複合体の標的遺伝子の網羅的同定 IV) 変異型MLL複合体による転写・ クロマチン構造の制御メカニズム解析

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初、ヒト子宮頸癌の細胞株であるHeLa S3に遺伝子導入させクローニング行った。しかし、分子量が大きいためか精製した複合体が十分に得られなかった。そこでMLLに変異が無いヒト胎児腎細胞株である293TにMLL複合体構成因子として既知のMEN1, BRD4, AF4, およびAF9を遺伝子導入し、これら構成因子の安定発現細胞株を樹立し複合体を精製した。また、再度FlagタグをMLLに付けた発現ベクターを用いて、293Tに遺伝子導入させクローニング行い、MLL安定発現細胞株を樹立した。BRD4, AF4, およびAF9は変異型MLL複合体に特異的な構成因子であるため、これらの複合体構成因子とMLL安定発現293T細胞株におけるMLLが正常の複合体構成因子を比較することにより、変異型MLL複合体特異的構成因子が同定できると考えられる。

今後の研究の推進方策

精製した複合体をSDS-PAGE後、銀染色し、変異型特異的なバンドを見出し、液体クロマトグラフィー質量分析法 (LC/MS/MS)でタンパク質を同定する。同定された因子に対する抗体を用いるなど、変異型MLL複合体の精製純度を上げ、複合体構成メンバーの全貌を明らかにする。さらに、同定された因子をsiRNAノックダウンし、細胞増殖抑制を指標として、固形癌細胞の維持に必須なサブユニットの同定も試みる。
過去に多くの抗生剤、抗癌剤等の生理活性物質が分離されてきた未知の物質を多数含有する放線菌や海洋微生物の代謝産物のライブラリーを用いて、変異型MLL複合体の形成を阻害する低分子化合物を探索する。
正常型MLLに比べ、変異型MLL複合体は、クロマチンへの結合部位が変化して新たな癌遺伝子の転写活性化や癌抑制遺伝子の不活性化が起きてクロマチン環境が撹乱されるため癌が進行すると推測される。そのため、①クロマチン免疫沈降シーケンス(ChIP-seq)を用いて、正常型と変異型MLLの結合領域を網羅的に同定・比較する。変異型MLLを特異的に認識するペプチド抗体および、正常および変異型MLL両方を認識するポリクローナル抗体も用いて、計画Iで選別したH3K4メチル化異常を示したMLL変異を有する癌細胞で解析を行う。同時にH3K4メチル化状態もモニターする。明確な結果が得られなかった場合は、計画IIで作製したFlagタグ付きの正常型と変異型MLL安定発現細胞株を用いた抗Flag抗体によるChIP-seqを行う。次に、②変異型MLL特異的なsiRNAノックダウンは不可能ではあるが、正常および変異型MLLを両方ノックダウンし、RNA-seqを実施し、MLL標的遺伝子候補リストを作製する。①②を統合的に解釈し、変異型MLL特異的な標的癌遺伝子および癌抑制遺伝子を同定する。

次年度使用額が生じた理由

経費削減に努めたところ、細胞培養のための消耗品費を削減することができ、数万円を次年度に繰り越した。
繰り越した助成金を付加して複合体構成因子同定のための抗体購入費とする。

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公開日: 2018-12-17  

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