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2020 年度 実施状況報告書

β4インテグリンによる薬剤耐性機構の解明とその克服

研究課題

研究課題/領域番号 17K08665
研究機関福島県立医科大学

研究代表者

苅谷 慶喜  福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (00458217)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワードβ4インテグリン / 癌 / 薬剤耐性
研究実績の概要

令和2年度に実施した主な研究として以下の2つが挙げられる。
1)ゲムシタビン耐性膵癌株におけるβ4インテグリンの発現増加による影響
前年度、樹立したゲムシタビン耐性膵癌株Panc-1においてβ4インテグリンの発現が上昇していることを報告した。ゲムシタビン耐性株の細胞運動、浸潤、増殖を調べると、親株に比べて、いずれの活性も上昇していた。スフィア形成能もゲムシタビン耐性膵癌株で亢進していた。そこで、前年度樹立したβ4インテグリンノックダウン(KD)ゲムシタビン耐性膵癌株で同様の実験を行ったところ、いずれもβ4インテグリンKDにより、活性が低下した。これらの結果は、ゲムシタビンにより誘導されたβ4インテグリンがPanc-1の運動、浸潤、増殖、スフィア形成能を上昇させたことを示唆する。
2)β4インテグリン強制発現Panc-1の解析
Panc-1におけるβ4インテグリン発現の直接的な影響を調べるために、β4インテグリン強制発現Panc-1 (β4-Panc-1)を樹立した。親株と比較して、β4-Panc-1は細胞運動、浸潤、増殖のいずれも親株に比べて強い活性を示した。また、スフィア形成もβ4インテグリン発現により促進された。これは上記1)を支持する結果である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、ゲムシタビン耐性及びβ4インテグリン強制発現Panc-1を用いて、ゲムシタビン耐性細胞におけるβ4インテグリンの発現が癌細胞の運動、浸潤、増殖、スフィア形成能促進に関与することを明らかにできた。これは、薬剤耐性化膵癌の悪性化を考える上で重要な成果といえる。
この実験はβ4インテグリンが、ゲムシタビン処理特異的に発現上昇するという、全く予想しない結果を元に昨年度から始まった。上記結果は元々の申請書の研究計画にはないスピンオフ的なものであるが、薬剤耐性化とその後の悪性化を理解する上で著しい進展である。したがって、現段階において研究はおおむね順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

今回樹立したゲムシタビン耐性膵癌株やβ4インテグリンKD細胞を用いて、β4インテグリンがゲムシタビンにより発現誘導されるメカニズムを解明する。また、ゲムシタビンによるラミニン332発現への影響や、β4インテグリンを介したラミニン332シグナルによる悪性化への影響などを調べていく。さらにはヌードマウスを用いてin vivoでのゲムシタビン耐性膵癌株の振る舞いとβ4インテグリン発現との関係についても調べていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

コロナによる研究時間の減少、動物施設の利用制限が生じたため。また、新たに得られた予想外の結果について、さらに研究を行う必要が生じたため。さらに、それら実験結果を含めた発表を行うため。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 癌悪性化におけるβ4インテグリン上N型糖鎖の役割2020

    • 著者名/発表者名
      苅谷 慶喜, 苅谷 由貴子, 大山 翠, 橋本 康弘, 顧 建国, 大塚幹夫、菊池信之、山本俊幸
    • 学会等名
      第14回東北糖鎖研究会

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公開日: 2024-12-25  

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