研究課題
褐色/ベージュ脂肪細胞の発生・分化に関与し、機能を活性化させる転写因子の機序と役割を解明することを目的とした。転写因子PRDM16は、褐色/ベージュ脂肪細胞の分化およびその機能維持に重要な転写因子である。このPRDM16には、脱共役蛋白UCP1とは無関係に、線維化を抑制する機序・糖代謝を改善させる機序を持つため、その詳細な機序を解析した。質量分析法によりPRDM16と相互作用するタンパク質を探索したところ、褐色/ベージュ脂肪細胞において特異的に高く発現している転写因子GTF2IRD1を同定できた。このGTF2IRD1は,転写因子PRDM16と複合体を形成し、Repressorとして作用していた。さらに、GTF2IRD1は脂肪組織の線維化に関わる広範な遺伝子の発現を制御し,TGFβシグナルを強力に抑制していた。脂肪組織にGTF2IRD1を過剰に発現させたマウスは,肥満の進展にともない脂肪組織において生じる細胞外マトリックスのリモデリングおよび線維化が抑制され,肥満および全身の糖代謝が改善した。肥満に伴うインスリン抵抗性や糖代謝に関わる新たな機序が見い出すことができた。本年度は、GTF2IRD1の転写調節機構の解明を進めた。これらの成果は、脂肪組織の線維化にとどまらず、他の臓器・組織の線維化疾患への治療応用や病態理解につながることが期待される。
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