研究課題/領域番号 |
17K08671
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
荒谷 聡子 東京医科大学, 医学部, 講師 (40387064)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | HPVワクチン / モデルマウス / HANS / 視床下部 |
研究実績の概要 |
ヒトパピローマウィルス (HPV) 感染を病因とする子宮頸がんに対して開発された HPV ワクチンは感染予防に効果を示す一方で、多くの有害な副反応が世界中で報告され問題となっており病因・病態の解明が急務とされている。その症状は疼痛、運動障害、高次機能障害、内分泌異常など多岐にわたり、我々は HPV ワクチン関連神経免疫異常症候群 (HANS) と名付けた。HANS の病因・病態を明らかにするため HPV ワクチンを用いて HANS モデルマウスを作製し、運動機能および脳の組織学的異常を示すマウスが得ている。本研究では HANS 発症メカニズムの解明および安全性の高いワクチンの開発を目指して、HANS モデルマウスを用いたワクチン作用機序の解析および宿主反応メカニズムの解析を行っている。同モデルマウスの脳の組織学的解析よりHANS 患者で報告されている IL-17 の増加が示唆されていた。さらに宿主反応メカニズムを明らかにするために HPV ワクチンおよび百日咳毒素処理を行い、HANS モデルマウスを作製しモデルマウスの病態である運動機能の低下がみられることを確認した。モデルマウスより視床下部を採取、脾臓より末梢リンパ球、血漿の採取をおこなった。それぞれの組織よりタンパク質、RNA を精製、また分離した末梢リンパ球の分画を行った。定量的 PCR、アレイ、ウェスタンブロットによりサイトカインなどの発現を現在解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述したように、さらに HANS モデルマウスを作製し個体数を増やして免疫細胞分画および視床下部から組織を採取した。RNA およびタンパク質を調整し発現因子の解析を行っている。この結果を基にモデルマウスに適応し、病態発症における宿主因子の応答機構の解明につなげる。
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今後の研究の推進方策 |
HANS 発症においてワクチンを接種した体内において何らかの過剰な免疫応答が起きていると考えられため、どの免疫経路が病態に関与しているか、マウスに移植し病態を再現できるかどうか検討する。ワクチンおよび百日咳毒素を投与し現在の HANS モデルマウスから調整した血液分画を、放射線照射による免疫不全マウスに移植しおよび Ptx 処理を行い、病態 (運動機能、行動、組織、シグナル伝達、アポトーシス) について検討する。現在検討中のモデルマウスにおいて発現が変化していた因子に関して、病態発症に関与する細胞と同因子のシグナル伝達経路の関連について解析を行う。さらにワクチン中の HANS 発症成分の同定に関しては、各成分 (HPV ワクチン、L1 タンパク質もしくは Al 塩) を免疫、Ptx を腹腔投与したマウスの行動学的解析、組織学的解析をさらに進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬購入にあたり金額が不足したため、翌年度予算と合算して支払い予定である
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