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2018 年度 実施状況報告書

TAR症候群原因遺伝子産物Y14におけるリン酸化制御解析

研究課題

研究課題/領域番号 17K08677
研究機関金沢医科大学

研究代表者

石垣 靖人  金沢医科大学, 総合医学研究所, 教授 (20232275)

研究分担者 大塚 哲  金沢医科大学, 総合医学研究所, 准教授 (40360515)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードY14(RBM8A) / リン酸化 / mRNA / EJC / Magoh
研究実績の概要

Y14(RBM8A)遺伝子の発現低下は、橈骨欠損血小板減少症(TAR症候群)の原因として知られている。この遺伝子がコードするタンパク質は、中央領域に保存されたRNA認識モチーフを、そしてN末端に核局在化シグナルを持っている。Y14は、他の因子とともにスプライシングと共にmRNA分子上に形成されるExon Junction 複合体の一員である。本研究では、特にY14に存在する2カ所のセリンのリン酸化制御を中心として成果を発表してきたが (Scientific Reports, 2018)、2018年度は、Y14と細胞内で安定に結合してヘテロダイマーを形成するMagohについても解析を行ない、両者の複合体形成がそれぞれのタンパク質レベルでの安定性に寄与していることを明らかにすることができた。この結果は、2013年に申請者がExperimental Biology and Medicine誌において報告した、培養細胞におけるノックダウン実験の結果ともよく一致した。研究の成果はBiochemical and Biophysical Research Communications誌に発表できた。また、Y 14の局在解析を電子顕微鏡レベルで実施していることで、mRNA結合因子Upf2との共局在からmRNAの構造を観察する手法を提案し、Microscopy Research and Technique (MRT)誌に公表することができた。さらに、リン酸化変異体の発現が腫瘍の悪性化に関与する可能性を薬剤誘導系の構築とともに進めており、今後解析を進めて行く予定である。また、マウスを用いたインビボでの変異体作成も進行中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Y14の細胞内制御の解析については概ね順調に進展している。さらにリン酸化の意義については細胞内局在について解析を進め、特に免疫電顕の手法を発展させて細胞内オルガネラにおける局在を詳細に解析している。また、生理学的な意義の解析には変異体の発現系構築が重要であり、薬剤誘導系を構築して腫瘍の悪性化への関与を検討している。以上のように動物モデルでの解析も含めて順調に進展している。

今後の研究の推進方策

今後は、予定通り以下の2点について検討を進める。第1にリン酸化の役割をインビボで解明するために、リン酸化変異マウス作製を進めるとともに、リン酸化部位に変異を持つ細胞系を構築する。第2に、リン酸化変異体発現の影響をヒト培養細胞内で分子レベルにて解析することによりリン酸化の持つ細胞内機能を明らかにする。以上よりY14のリン酸化制御について生体内での役割や病態への関与について新たな知見を加え、この研究の出発点である、Y14がどうしてリン酸化を受ける必要があるのかを明らかにしていきたい。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] Huazhong Univ of Sci & Tech(中国)

    • 国名
      中国
    • 外国機関名
      Huazhong Univ of Sci & Tech
  • [雑誌論文] Immuno-detection of mRNA-binding protein complex in human cells under transmission electron microscopy.2019

    • 著者名/発表者名
      Ma Q, Tatsuno T, Nakamura Y, Izumi SI, Tomosugi N, Ishigaki Y
    • 雑誌名

      Microscopy Research and Technique

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • DOI

      10.1002/jemt.23214

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] The stability of Magoh and Y14 depends on their heterodimer formation and nuclear localization.2019

    • 著者名/発表者名
      Ma Q, Tatsuno T, Nakamura Y, Ishigaki Y.
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      巻: 511 ページ: 631-636

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2019.02.097

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] RS 繰り返し配列を持つ RNA 結合タンパク質 Y14 の局在解析2018

    • 著者名/発表者名
      辰野貴則、石垣靖人
    • 学会等名
      第20回日本RNA学会年会
  • [学会発表] RNA結合タンパク質が持つRS繰り返し配列におけるリン酸化の役割2018

    • 著者名/発表者名
      辰野貴則、石垣靖人
    • 学会等名
      第41回日本分子生物学会年会
  • [備考] 金沢医科大学総合医学研究所生命科学研究領域細胞機能研究分野

    • URL

      http://www.kanazawa-med.ac.jp/~souiken/ls/dmov/

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公開日: 2019-12-27  

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