内圧上昇による組織・細胞傷害は古くより知られており、その病理学的な組織所見も詳細に記述されているが、傷害発生の分子機序に関する研究は少ない。その主たる理由の1つは、発症原因となる内圧上昇が疾患や病態に関わらず非常に小さく、その軽微な加圧を可能にする培養装置が一般的には普及していないからと思われる。申請者らが考案した培養装置は、非常に安価でありながら、静的圧力の大きさを容易かつ任意に設定可能であり、速やかに普及して広く用いられるものと思われる。緑内障などの発症の分子機序解明に貢献するものと期待され、発症機序に基づく創薬シーズの探索へと発展する可能性を秘めており、社会還元の点でも意義深い。
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