研究課題
1) PCSK9 E32K、V4I 及び機能未知変異の in vitro 機能解析コントロールプラスミド (pcDNA3.1) から、PCSK9遺伝子 WT、E32K、V4I、I424V変異を有するプラスミドを作製し、ヒト培養胎児腎細胞HEK293に導入し、24時間後に、LDL 受容体 (LDLR) 発現を上昇させるため、リポ蛋白質欠損培地に培地交換し、さらに24時間後に細胞を回収した。PCSK9 蛋白質の細胞内発現量・細胞外分泌量は、WT と比し各変異体において差は認められなかった。また、ヒト培養肝細胞 HepG2 に各プラスミドを導入した場合もPCSK9 の発現・分泌量は各変異体間で差はなく、LDLR の細胞内・細胞膜の発現量や LDL の取り込みについても差は認められなかった。このとき、PCSK9遺伝子発現量は、コントロールプラスミドに比較し、それぞれ約80-90倍であった。これらのことから、PCSK9 E32K、V4I、I424V は、PCSK9 WT と同程度に生成し、細胞外に分泌され、LDLR 調節作用を有することが示唆された。2) FH 患者におけるPCSK9 遺伝子変異分布の検討当院/全国のFHヘテロ接合体発端者663名の末梢血からDNA を抽出し、LDLR /PCSK9 遺伝子のコード領域・エクソンイントロン接合部をサンガー法にて解析した。LDLR大規模欠失/挿入変異については Multiplex Ligation-dependent Probe Amplification 法を用いた。変異分布は、LDLR 変異: 50.2%、LDLR 大規模欠失/挿入変異: 4.8%、PCSK9変異: 9.5%、LDLR/PCSK9 変異なし: 35.4% であった。PCSK9 遺伝子変異は全体の9.5%で認められ、その内訳は、E32K変異: 6.9%、V4I変異: 1.8%、R496W変異: 0.6%、R215H変異: 0.2%であった (Hori et al. 論文投稿準備中)。
2: おおむね順調に進展している
遺伝子改変マウスの作製・実験を来年度に持ち越しとし、本年度は、PCSK9 の遺伝子型や機能解析を中心に行い、論文を作成し、近日中に投稿予定であるため、おおむね順調に進展していると考える。
本研究では、PCSK9の遺伝子変異や分子型の違いが FH や生活習慣病の発症及び進行に及ぼす影響とそのメカニズムについて明らかにすること、PCSK9 の分子型を制御する因子を明らかにすることを目的とする。今後は、PCSK9 変異を有する患者検体を用いた血清 PCSK9 値の測定、糖尿病との関連を調べるとともに、切断型 PCSK9 を産生するFurin 及び PC5/6A の発現を上昇させる因子の探索、PCSK9 の分解を制御する因子の探索を行う。
遺伝子改変マウスの作製・実験を来年度に持ち越し、本年度は、PCSK9 の遺伝子型や機能解析を行い、論文を作成したため、次年度使用額が生じた。PCSK9 遺伝子変異を有する患者の血清 PCSK9値の測定、糖尿病とPCSK9遺伝子変異との関連を調べるとともに、切断型PCSK9 を産生するFurin 及び PC5/6A の発現を上昇させる因子の探索、PCSK9 の分解を制御する因子の探索を行う。
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Jounral of Clinical Lipidology
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