研究課題/領域番号 |
17K08682
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
三澤 計治 関西医科大学, 医学部, 講師 (10525885)
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研究分担者 |
三島 英換 東北大学, 大学病院, 助教 (00706939)
大内 基司 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (20409155)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 尿酸値 / 多様性 / 遺伝率 / 多変量解析 / コホート研究 |
研究実績の概要 |
病気の原因には、個人が生まれながらに持つ遺伝的な要因と、個人個人が生活している環境の要因があります。そのため、個人個人の違いを考慮することで、より効果の高い治療を行うことができます。我々は尿酸値を研究対象としています。我が国の30歳以上の男性の約3割が高尿酸血症といわれています。高尿酸血症は痛風を引き起こします。その上、慢性腎臓病や心臓病の発症・進展のリスクを高めます。高尿酸血症の機序としては尿酸産生過剰、腎臓からの排泄低下、腸管からの排泄低下があります。尿酸値に影響を与えている因子を患者ごとに判断することで、より適切な対処法および治療薬を選択することができます。 平成29年度においては、尿酸再吸収にかかわるURAT1タンパク質、およびそれをコードするSLC22A12遺伝子の変異について、タンパク質実験およびRNA実験を行うことで、この遺伝子上に見られる変異がタンパク質の機能に影響を与えていることが示されました。 平成30年度は、これらの結果を踏まえ、東北大学東北メディカル・メガバンク機構が行うToMMoコホートToMMoコホート参加者のうち1,278人にみられるSLC22A12遺伝子上の変異を持つ人と持たない人の間で、尿酸値に差があるかどうかの解析を行いました。その際に、腎機能の指標であるeGFRと、血糖値の指標の一つHbA1c、さらに、尿酸値に影響が与えられていることが知られている年齢・性別・BMIの影響を、多変量解析で調べました。その結果、実験で尿酸再吸収に影響が強いことが示された変異は、コホート参加者の人たちの尿酸値にも、実際に影響があることが示されました。遺伝率に換算すると10%ほどは、これらの変異で説明されることがわかりました。 現在は、その解析結果を2つの論文にまとめ、投稿し、審査を受けています。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者の転勤があったため、論文投稿が予定より少し遅くなった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究のこれまでの解析で見つかった変異は、実験では尿酸値に影響を与えていることが示されました。また、実験で得られた尿酸取り込みへの影響と、ヒトの尿酸値への影響を定量的に解析した。その際に、性別・年齢、BMI・eGFR、HbA1cなど、尿酸値に影響を与える要素を考慮に入れた。今後は、将来的に痛風予防や治療に役立てるため、変異から尿酸値を予測するモデルを構築する。また、今回変異が見つかったSLC22A12遺伝子以外の遺伝子にも、尿酸値に影響を与える変異がないか調べる。さらに以外の集団に関しても、尿酸値に影響を与える遺伝的変異を探索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度内に論文出版を行う予定だったが、予定より多くの解析を行ったため、論文の出版が延期となり、出版費用の出費がありませんでした。平成31年度には複数の論文出版をよていしていまして、出版費用の支払いが発生します。
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