研究課題/領域番号 |
17K08682
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
三澤 計治 関西医科大学, 医学部, 講師 (10525885)
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研究分担者 |
三島 英換 東北大学, 大学病院, 助教 (00706939)
大内 基司 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (20409155)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 尿酸値 / 痛風 / 失われた遺伝率 / 東北メディカルメガバンク計画 / 地域住民コホート / 尿酸トランスポーター / 稀な変異 |
研究実績の概要 |
痛風は尿酸ナトリウム塩の結晶により引き起こされる炎症です。高尿酸値は痛風のリスクファクターとして知られ、尿酸値が7.0 mg/dLを超えると高尿酸血症と診断されます。高尿酸血症は成人男性の3割を超えると推定されています。 これまでに、ゲノムワイド関連解析により、多数の尿酸値関連変異が見つかっています。しかしながら、それらの効果を全て足し合わせても尿酸値の遺伝的要因の7.9%にしかならないという報告がありました。一般的に「遺伝率」のうち、このような今までに見つかった変異では説明できていない部分を「失われた遺伝率」と言います。「失われた遺伝率」があるということは、尿酸値を左右する遺伝的要因は未同定な部分が多いことを示唆しています。 本研究課題では、さらなる尿酸関連変異の同定を目指しました。東北大学東北メディカル・メガバンク機構による地域住民コホート研究の全ゲノム解析から、尿酸輸送体URAT1 の遺伝子上に複数の新たな変異が発見されました。ヒト腎由来HEK293T細胞とアフリカツメガエル卵母細胞を用いた実験で、これらの変異がURAT1の機能に影響を与えていることがわかりました。地域住民コホート参加者について、これらのURAT1変異の有無と尿酸値の関連を調べたところ、男女いずれの性別でも、遺伝的な尿酸値の規定要因のうち10%以上を説明できることを明らかにしました。これは、先行研究で発見されていた変異の影響7.9%を大きく上回るものです。 本研究課題の成果により、全ゲノム解析で見つかる稀な変異群が、血清尿酸値の「失われた遺伝率」のかなりの部分の根底にあることが分かりました。今後は、ゲノム上の稀な変異を検出することにより、尿酸値異常によって引き起こされる高尿酸血症や痛風などの病気にかかりやすい人を特定できるようになることが期待されています。
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