研究課題
1.HCM多発大家系患者に対する網羅的変異解析から得た新規の病因を基盤とした治療法の創出: これまでに我々は原因治療法のない特定難病である肥大型心筋症(HCM)多発大家系を対象とした網羅的変異解析、全エクソーム解析を施行し、家系内の罹患者すべてに共通に見出され、健常者集団に見出されない新規の心筋症原因候補遺伝子Xの変異を同定し、さらに、日本人HCM発端者集団に、複数の別のX遺伝子変異を見出した。Xは液性因子であるが、今まで報告のない肥大抑制因子であると仮説をたて、現在検証を進めている。培養心筋細胞を用いて複数の薬剤刺激により肥大させ、Xを投与したところいずれも肥大が抑制された。また、培養心筋細胞においてX遺伝子の発現を低下させると心肥大マーカーが増加した。さらに、現在HCM患者同様のX遺伝子変異を有するマウスを作成している。Xによる心肥大抑制メカニズムについて引き続き詳細な解析、検討を行なっていく。2.心筋症の既知遺伝子の原因変異解析、新規原因候補遺伝子解析: 67種の既知の心筋症原因遺伝子に関する変異解析の系を用いて、全国多施設より解析依頼された肥大型(HCM)、拡張型心筋症(DCM)患者DNAに多くの病的変異を同定し、結果をそれぞれの施設に報告している。本年度は特にHCM例としては新規となるデスミン遺伝子変異例について、また、Barth症候群についての遺伝子変異に関して文献報告を行なった(文献2、3)。
2: おおむね順調に進展している
次世代シークエンサーを用いた既知原因遺伝子群の網羅的解析の系を用いて、多くの原因変異を見出し臨床へ報告、還元を行っている。また、同定した新規の心筋症原因遺伝子Xに関して、肥大抑制メカニズムの解明のため、細胞レベル、個体レベルでの解析を進めている。これら成果は、学会報告及び、論文を発表あるいは投稿中である。
特に新規に得られた心筋症原因候補遺伝子Xについて、細胞モデル、また、個体モデルを作成し、それぞれのレベルでの詳細な機能解析を分子生物学的、細胞生物学的に行い、肥大抑制メカニズムの解明を網羅的に進めている。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)
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