研究課題
一次スクリーニングで得られた6つの候補遺伝子に対してCRISPR-Cas9システムを用いたknockout(KO)による二次スクリーニングを行った。各遺伝子をKOした複数のクローンを取得し、DNAメチル化パターンを解析したところ、4遺伝子では未分化状態でDMRであるべきAirnプロモーター領域が脱メチル化していた。この結果から、これら4遺伝子は候補遺伝子から除外した。現在、残りの2遺伝子は現在スクリーニング中である。一方、インプリントDMRのメチル化制御機構の観点から、Kcnq1ot1/Cdkn1cインプリントドメインを対象としてマウスを用いた解析を行った。このドメインのICRはKvDMR1であり、そのメチル化の確立には卵成熟過程でKcnq1が転写されることが必要であることが知られている。ドメイン内にエンハンサーと推測される領域が2カ所あることから、このエンハンサーがKcnq1に対して作用すると仮定し、母性アレルで欠失したマウス(ΔR1R2マウス)とエンハンサーを含む100 kbを母性欠失したマウス(Δ100 kbマウス)を作成した。KvDMR1のメチル化、Kcnq1ot1とCdkn1cの遺伝子発現量を解析したところ、KvDMR1はどちらのマウスでも正常メチル化を維持していた。一方、遺伝子発現では、ΔR1R2マウスは野生型と有意差のない発現量であったが、Δ100 kbマウスではKcnq1ot1の発現が有意に増加し、Cdkn1cが減少した。このことから、欠失領域にインプリントDMRのメチル化確立に関与するエンハンサーはないものの、Kcnq1ot1に対するリプレッサーが存在することが予想された。リプレッサーが欠失することで、Kcnq1ot1の発現が増加し、本領域のインプリンティングメカニズムに従ってCdkn1cが減少したと考えられた。
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