研究課題/領域番号 |
17K08689
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
中林 一彦 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 周産期病態研究部, 室長 (10415557)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | インプリンティング / DNAメチル化 / シーケンス |
研究実績の概要 |
ベンチトップシーケンサーを用いたアンプリコンバイサルファイトシーケンスプロトコールを確立し、ライブラリ作製条件を論文(PMID: 29962238) に記載した。自作スクリプト並び既存のバイサルファイト配列解析ツールを組み合わせたデータ解析系を構築した。10-15種類程度のアンプリコンをプールしアダプター付加したライブラリーを作製し、シーケンスデータをプライマー配列よりアンプリコンのタイプに応じて分別し、メチル化率算出・データ可視化までが簡便に実施できることを確認した。実験系研究者が各自の通常のPCにデータ解析系を整備するためのマニュアル作成を進めている。 ヒト全ゲノム片親性ダイソミー症例のゲノムワイドなDNAメチル化データをDNAメチル化アレイEPICで取得・解析し、PTCHD3-DMR, JAKMIP1-DMRを新規インプリント制御領域として報告した(PMID: 29962238) 。胎盤特異的なインプリント制御領域の親由来アレル特異的メチル化の厳密性には個人差がある。その個人差を規定する分子機構の解明に向けて、胎盤8検体についてゲノムワイドなDNAメチル化データと全ゲノムシーケンスデータを取得した。2019年度にデータ解析を実施する。 マウスF1雑種由来ES細胞についてFAIREseqデータを取得し、SNPsplitを用いたアレル特異的データ解析系を構築した。同細胞についてCapture-HiC法データを取得した。2019年度にプロモーター・エンハンサー相互作用をアレル別に検出する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
簡便なバイサルファイトアンプリコンシーケンス法の確立、ヒト新規DMR探索、胎盤特異的インプリント制御領域の解析、アレル特異的オープンクロマチン領域同定、のいずれにおいても、申請時に提案したスケジュールに概ね従った形で、実施目標を達成できている。申請当時との状況変化に応じて、目的とするタイプのデータを取得するための方法を一部変更することで、研究の効率化を図っている。
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今後の研究の推進方策 |
1.実験系研究者がストレス無く、アンプリコンバイサルファイトシーケン配列データを実施するためのソフトウェアインストールマニュアルを作成する。 2.胎盤特異的インプリント制御領域の親由来アレル特異的メチル化厳密性の個人差に対応するDNA多型の同定を試みる。 3.マウスF1雑種由来ES細胞について取得したCapture-HiCデータの解析を通じてアレル特異的なプロモーター・エンハンサー同定のためのデータ解析系を構築する。マウスF1雑種9.5日胚についてCapture-HiC解析を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
公開データベースのデータ利用によりデータ取得経費の節約に成功した。研究申請時と比較して次世代シーケンスコストが安価となった。 ヒト胎盤DNAメチル化解析においては解析数がより多いことが望ましいため、解析数を当初計画の8から16程度に増やす。
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