研究課題
滋賀医科大学附属病院の胃生検検体を用いて、PPI関連胃底腺ポリープは古典的(PPI非内服)胃底腺ポリープと同じ病理学的、分子病理学的に同一の病変であるかを明らかすること目的として検討を行った。2000年1月から2018年6月までの間に組織診断で胃底腺ポリープと診断された349人、448病変を対象とし、除外基準該当する症例、病変を除外し、最終的に158人、196病変を解析の対象とした。診療録を参照し、PPIの内服歴の有・無によりPPI非内服群と、PPI内服群に分けて組織学的に比較検討した。また、内視鏡的にはポリープの大きさを評価した。結果、ポリープの大きさは、非PPI内服群(mean±SD、3.76±2.12mm)に比べPPI内服群(7.90±4.68 mm)で有意に大きかった(P < 0.001)。嚢胞径は、非PPI内服群((281±134μm)に比べPPI内服群(387±166 μm)で有意に大きかった(P < 0.001)。腺窩上皮型の嚢胞、腺窩上皮細胞過形成、PCP、単球浸潤の所見は有意にPPI内服群で多く観察された(P < 0.001)。Ki67 indexは粘膜浅層・深層のいずれの領域でもPPI 内服群がPPI非内服群に比べて高かったが(p=0.039, p<0.001)、特に浅層より深層での陽性率が高かった。免疫重染色の結果、PPI非内服群でもPPI内服群でもKi67陽性細胞と共陽性になった細胞はMUC5AC陽性細胞が多かったが、PPI内服群ではPPI非内服群に比べKi67陽性・MUA5C共陽性が有意に高かった(p=0.029)。PPI内服群の胃底腺ポリープでβ-cateninの遺伝子解析を行った結果、9.7%に変異が認められた。以上の結果から、PP関連胃底腺ポリープは病理学的、分子病理学的に従来の胃底腺ポリープと異なる病変であることを示した。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件)
Histopathology
巻: 75(4) ページ: 537-545
10.1111/his.13902