研究課題
応募者は間質細胞の内マクロファージ(Mφ)に着目して、これまで食道扁平上皮癌微小環境が浸潤Mφを腫瘍関連Mφ(TAM)に分化させるとともに、特異的分子の発現誘導により悪性度を高める可能性を報告した。さらに、食道扁平上皮癌培養細胞上清を骨髄由来間葉系幹細胞(BM-MSC)に作用させたところ、αSMA陽性がん関連線維芽細胞(CAF)様分化を認め、食道扁平上皮癌微小環境における癌細胞・CAF間クロストークの存在が示唆された。これらの成果を発展させ、本研究では癌細胞-TAM-CAFの相互作用の解析を共培養モデルの構築により解析し、分子病態における意義を明らかにするとともに、抽出された作働分子発現の臨床検体による検証を通じて組織としての食道扁平上皮癌の増殖・進展機構に関する分子病理学的解釈を行うことを目標としている。令和元年度はCAF様分化過程で誘導される分子としてplasminogen activator inhibitor-1 (PAI-1)の癌・間質相互作用における役割を解析した。PAI-1は受容体LRP1を介してAktおよびErkシグナル経路を活性化することで食道扁平上皮癌細胞株およびマクロファージの運動能および浸潤能を促進した。また、食道扁平上皮癌組織においてPAI-1(癌間質)およびLRP1(癌胞巣)を高発現する症例は不良な予後を示した。以上から、食道扁平上皮癌微小環境においてPAI-1/LRP1経路は癌進展に関与する可能性を見出した。現在CAF様分化過程で誘導されるその他の分子MT2A、LEP、 ANGPTL4、SOD2についても食道扁平上皮癌微小環境における役割について解析中である。
すべて 2020 2019 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (28件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (1件)
Dent J (Basel)
巻: 8 ページ: E18
10.3390/dj8010018
Pathobiol
巻: 87 ページ: 1-14
10.1159/000504394
Oral Dis
巻: 26 ページ: 527-536
10.1111/odi.13269
Clin Exp Dent Res
巻: 5 ページ: 627-637
10.1002/cre2.228
J Clin Neurosci
巻: 68 ページ: 281-289
10.1016/j.jocn.2019.07.020
Oncotarget
巻: 10 ページ: 2435-2450
0.18632/oncotarget.26764
Lab Invest
巻: 99 ページ: 777-792
10.1038/s41374-018-0185-6
https://www.med.kobe-u.ac.jp/patho/index.html