研究課題
子宮頸部腺癌手術材料でGPR30などの発現解析を行ったところ、GPR30は正常腺上皮と比較して、腺癌で高発現していた。また、claudin-1とGPR30の両者が高発現している症例では予後が不良であった。GPR30単独での高発現群は有意に予後不良であった。更に、GPR30は腺癌の浸潤先進部で陽性となる傾向が見られ、浸潤などの悪性化に関与する可能性が示唆された。また、ERの免疫染色を合わせて行い、解析したところ、GPR30とERの発現は負の相関を示しており、正常腺上皮ではERが多く発現し、腺癌組織ではGPR30が多く発現しており、それぞれエストロゲン受容体として機能している可能性が示唆された。この結果から、正常腺上皮から癌化する際に、エストロゲン受容体スイッチともいうべき現象が存在する可能性が示唆された。これらの結果をまとめ、論文として報告した。細胞を用いた実験では、複数の細胞株に共通して、GPR30アゴニスト投与で増加するタンパク質を、プロテオーム解析を用いて網羅的に解析した。その結果、複数の細胞株で、GPR30アゴニスト曝露で共通して増加するタンパク質が、複数明らかになった。それらのタンパク質を文献検索などで検討し、いくつかのタンパク質について、CRISPR-Cas9システムで欠損させたところ、増殖能などが顕著に抑制された。GPR30は複数のタンパク質を介して、頸部腺癌の悪性化に関与している可能性が示唆された。頸部腺癌手術材料を用いて、これらのタンパク質に対する免疫染色を実施しており、これらのタンパク質の発現と病理組織学的因子や予後との関連について解析する予定である。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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