研究課題/領域番号 |
17K08702
|
研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
中村 昌太郎 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (10243932)
|
研究分担者 |
松本 主之 岩手医科大学, 医学部, 教授 (10278955)
菅井 有 岩手医科大学, 医学部, 教授 (20187628)
八尾 隆史 順天堂大学, 医学部, 教授 (20243933)
竹下 盛重 福岡大学, 医学部, 教授 (90171636)
江崎 幹宏 佐賀大学, 医学部, 准教授 (50335957)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 腸症関連T細胞リンパ腫 / MEITL / 上皮内リンパ球 / CD103 / DLBCL / FISH / IGH遺伝子 |
研究実績の概要 |
前年(2018年)度までに、Ⅱ型enteropathy-associated T-cell lymphoma(EATL;現monomorphic epitheliotropic intestinal T-cell lymphoma; MEITL)の詳細な病理組織学的検討を行い、その成果を英文誌に公表した(Kikuma K, Nakamura S, et al. Hum Pathol 2014; 45: 1276-84)。また、関連研究として消化管に主病変を有する成人T細胞白血病/リンパ腫(adult T-cell leukemia/lymphoma; ATLL)の上皮内Tリンパ球(intraepithelial lymphocytes; IEL)における腸管ホーミング受容体αEβ7インテグリン(CD103)の高発現を確認した(Ishibash H, Nakamura S, et al. Am J Surg Pathol 2016; 40:462-70)。一方、小腸原発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma; DLBCL)症例において、免疫グロブリン重鎖(immunoglobulin heavy chain; IGH)遺伝子の転座陽性を23/33例(70%)で認め、BCL6、MYC、BCL2転座陽性を各々36%、24%、18%の症例で認めた。IGH転座陽性例は、陰性例と比べ、全生存率および無イベント生存率が有意に良好であった(Ikegami K, Nakamura S, et al. Histopathology 2016; 68: 199-209)。 2019年(令和2年)度には、大腸原発DLBCL 25症例において、種々の遺伝子転座をfluorescence in situ hybridization(FISH)法で検索した。その結果、BCL2(12%)、BCL6(12%)、MYC(40%)、IGH(56%)、IGK(12%)、IGL(12%)で転座を認め、MALT1転座例はなかった。IGH転座陽性例は、陰性例と比べ、全生存率および無増悪生存率が有意に良好であり、IGH転座が消化管DLBCLにおける予後良好因子であることが示唆された(Hori Y, Nakamura S, et al. Hum Pathol 2020; 96: 67-78)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの検討で興味深い結果が得られているが、検索可能な新規MEITL(Ⅱ型EATL)の症例が少なく、免疫組織化学染色、FISHなどによる詳細な分子病理学的解析が十分に行えていない。
|
今後の研究の推進方策 |
EATL以外の消化管リンパ腫症例における臨床病理学的特徴の比較検討を予定している。既に、消化管成人T細胞白血病リンパ腫、小腸および大腸原発DLBCLの検討を行い、論文報告している。今後は、消化管濾胞性リンパ腫やマントル細胞リンパ腫などの検討を考慮している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
検討対象としたEATL症例が予想外に少なく、十分な検討が行えなかった。このため、EATL以外の消化管成人T細胞白血病リンパ腫、小腸および大腸原発DLBCLの検討を行い、既に論文報告している。最終年度とは、EATL以外の消化管リンパ腫や遺伝性消化管ポリポーシスなどの症例における臨床病理学的特徴や遺伝子検査を予定しており、次年度使用額は、これらの検査費用や学会発表の旅費などに充てる予定である。
|