研究実績の概要 |
本研究は、卵巣明細胞腺癌ではNNMT(nicotinamide N-methyltransferase)が下がると化学療法感受性が上がる可能性があり、NNMTと卵巣明細胞腺癌の化学療法の感受性との関係を明らかにすることを目的としている。 近年プロテオミクス解析によりNNMTは癌関連繊維芽細胞の制御因子と報告されている(MA Eckert et al, Nature 2019)。そのことから今年度は卵巣明細胞腺癌細胞株で 2D-DIGE にてNNMTの発現が高いとわかっている卵巣明細胞腺癌細胞株OVTOKO, OVMANAとNNMTの発現が低いとわかっている細胞株ES-2,KKを用い、Western blotによりその再現性を確認し、卵巣癌臨床検体を用いてNNMTの発現の状態を検討し、NNMTの発現の高い細胞株OVTOKO, OVMANAをもちいてNNMTshRNAを用いてNNMTをノックダウンしたStable cloneを作成しパクリタキセル感受性の変化の検討を試みるために前実験としてstable cloneを作成するためにpuromycin濃度の至適濃度の検討した。Western blotでは2D-DIEでNNMTの発現の高かった細胞株OVTOKO, OVMANAでNNMTの発現が検出され、2D-DIGEでNNMTの発現の低かった細胞株ES-2, KKでNNMTの発現は検出されなかったため、2D-DIGEの結果はWestern blotでも再現性があると考えられた。また、卵巣癌臨床検体を用いてNNMTの発現の有無を検討したところ、細胞質で発現のあるものとないものとに分かれ、卵巣明細胞腺癌ではNNMTの発現の高いものが他の癌種にくらべて多い印象であった。細胞質におけるNNMTの発現と臨床病理学的因子との関連は現在検討中である。NNMTの発現の高い卵巣明細胞腺癌細胞株OVTOKO, OVMANAを用いてpuromycinの至適濃度を検討したが、検討したpuromycin濃度のレンジが低くすべて細胞が死滅する濃度がなかった。再度、puromycin濃度のレンジを上げて細胞がすべて死滅する濃度を決定する予定である。
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