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2017 年度 実施状況報告書

病理-NGSゲノム解析のシームレス早期頭頸部扁平上皮癌診断法の確立と治療薬の探索

研究課題

研究課題/領域番号 17K08710
研究機関国立研究開発法人国立がん研究センター

研究代表者

森 泰昌  国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医員 (00296708)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード頭頸部扁平上皮癌 / TP53 / 遺伝子全エクソン解析
研究実績の概要

重要ながん抑制遺伝子であるTP53は、頭頸部扁平上皮癌の約70%で変異が認められ、ナンセンス変異、フレームシフト変異、プライシング異常、一部のミスセンス変異が予後不良因子と報告されている。一方、病理診断におけるp53蛋白(DO-7 clone)の免疫組織化学染色(IHC)では、強陽性(2+)・染色性の陰性(-lost)といった異常染色パターンが認められる。しかしながら、TP53ゲノム変異はその全域に見られ、異常染色パターンとの相関が悪性度・予後不良因子であるかの解析はなされていない。過去3年に当院で外科加療を行った頭頚部癌患者367例の切除標本のFFPE検体からDNAを抽出、Illumina社の次世代シークエンサー(MiSeqTM)にてTP53の全エクソン変異解析と免疫染色によるp53蛋白発現解析の融合解析を行った。結果として、TP53変異は全体の60%の症例にみとめられ、ナンセンス変異、フレームシフト変異は独立した予後不良因子であるが、ミスセンス変異は単独で予後因子とはならなかった。シークエンスとp53IHCの相関は、強陽性群(+)で感度83%, 特異度55%; 。陰性群(-, lost)とナンセンス、フレームシフトとの相関は感度60%, 特異度85%であった。臨床的な予後との相関ではシークエンスとIHCを併用しナンセンス変異、フレームシフト変異、プライシング異常とIHCでLost及び2+の双方、または、いずれか一方のグループとその他のグループ間で最も有意に3年疾患特異的生存率が低く(65% vs 86% p=0.025)、重複癌が多く(44% vs 23% p=0.002)、周囲に上皮内癌病変を伴っており(46% vs 25% 0.004)、予後不良であった。なお、Lostと2+の症例間で死因、再発様式に大きな差は認めなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

NGSとホルマリン固定パラフィン検体(FFPE)からTP53遺伝子全エクソンをほぼ100%カバレッジ、高深度に解析可能なシステム(covaris DNA抽出+高密度プライマー配置)を独自に構築し、解析を進めた。また臨床情報を含め、蛋白発現レベルとの相関ついても統合解析を進めている。

今後の研究の推進方策

現在まで進行癌症例についての解析がほぼ完了した。今後、前がん部と早期病変の症例について同様の解析をすすめていく。またTP53以外の遺伝子の変異についても解析を進め早期病変診断としての有用性のエビデンスを確立する。

次年度使用額が生じた理由

本年度は、これまでのデータを整理することにより研究残対の基礎となる結果をもとめた。そのため、当初の予定より消耗品の使用が抑えられた。次年度は、基礎的な結果に基づき、新規の遺伝子解析のプラットフォームとプロトコルを作製するため、当初の想定より多くの消耗品等が必要となると考えております。

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公開日: 2018-12-17  

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